罪 2019-01-12 17:26:13 |
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榊>>
(扉を開こうと手を出した瞬間開かれたそれに驚くも、さらにその奥から現れた彼の姿の近さに目を丸くする。仕事という荷物を肩から下ろし、自分の気持ちに気付いた今、この距離で彼を見ると良からぬ思いがムクムクと鎌首をもたげる。彼を包むえもしれぬ雰囲気が鼻腔を擽り、脳漿を満たす感覚にクラリと眩暈を覚えるが、いつもより低く感じた、入って、の言葉に素直に足が動く。自分の予想通り、彼の体からほの漂う香りと自分、そして自分の掌に握り込んだ香り袋から香り立つ芳香が混ざり合い、同じであるということを強調し、眩暈を強くさせる。そんなクラクラとした視界の中でも、一瞬だけ浮かんだ艶やかな色を纏った笑みに魅せられ、彼の腕を緩く掴んでしまう。「…水、よりも」カラカラに乾涸びたかの様な喉からはつっかえつっかえにしか言葉が出ず、我慢していた欲が堰から今にも漏れ出してしまいそうな状態の己にはそれが抑えられそうにない。きっと自分は今、獣の様にギラついた目をしているのだろう、などとどこか冷静になりつつ、柔らかくも暖かい言葉をいつも作り出す彼の唇を親指の腹でなぞり「…いただけませんか?」とだけ告げて)
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