罪 2019-01-12 17:26:13 |
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>>榊
(少しだけホッとする。これで彼を失うことは無いだろうという安堵はきっと彼に聞かれたら怒られてしまうだろうな、と少しだけ余裕のできた頭で思う。彼から返ってきた4文字。たったそれだけの言葉だが、その言葉の中には信頼や再会の意がぎっしり詰まっている。こんなピンチではあるが、そう感じ取るとふっと口元が緩む。彼から与えられるものは聡慧や麗華に彩られずとも十分に心を満たす。「戯言を。お前がした先代への行い、忘れたわけではあるまいな…!」しかし、やはり彼がいないと自分はダメならしい。冷えたはずの頭が相手を馬鹿にするような言葉を理解した途端フツフツと怒りが湧き上がってくる。生温い?違う、彼は温かい優しさを持った上で、冷たく時に残忍な決断もする事ができる人なのだ。たとえそれが自分の心に背く事であっても、部下のために、組織のために動ける人なのだ。それを侮蔑するとは…。そんな激昂した頭に冷静さを差したのは、人質に取られている部下からのアイコンタクト。部下は男の隙が大きくなった事が分かったのだ、ならばもう一押しで…。男は冷静であるものの、やはり先の言葉の直後には反応を示した。ならば「…頭は生温いんじゃない、優しさを知っているんだ。冷徹と卑怯を履き違えたお前なんかとは違う!」最後の方は半ば叫ぶように口にする。と、共に隠し持った苦無を男の肩、出来るだけ部下からは一番遠い角度に向けて全力で投擲する。頭は再会の言葉を口にしたが、それは自分だけでなく、部下も合わせてのことなのだろう。勿論自分も部下を見捨てる考えはない。投げた苦無は当たれば御の字、当たらなかった場合を考えて直後に駆け出す。先ず部下を男の腕から解放を、と部下に手を伸ばし男の腹に蹴りを入れようと構えて)
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