罪 2019-01-12 17:26:13 |
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>>榊
「月見に一杯」ですか(のらりくらりと勧められる酒を躱していたものの、好意を無下にするのも申し訳なくなり、冷たい夜風がそよぐ外へ。途中から姿が見えなかった相手を見つけると少し驚かせてみよう、とイタズラ心が芽生え、背後へ回り込むと相手の手元にあったお猪口を見てそう一言。濃紺にも近い黒の夜空と弓形にしなる月の光を背に受け、黄昏れる彼はなんとも言えぬ妖華を纏い、絵になる。彼の微笑みや笑顔を見るのは一番好きな表情だ、しかし、時たまこうやって見る人間らしい憂いを帯びた眼差しや、影の落ちる鼻筋等はドキッとしてしまう。幼稚な表現だが、その眼差しを見るたびに心臓を鋭利なもので突かれているような感覚に陥るのは事実。「…顔色が優れないようですが、如何されましたか?」小さな吐息に疲弊の色が混ざっているのを感じ取ると、持ってきていた彼の羽織をそっと肩に掛けてそう問う。カラーギャングとの連戦、肩の負傷、そして忌まわしき敵組織の復活…精神的、身体的にも疲れが溜まるはず。それを弱みとして決して人に見せようとしない強さはきっと彼の壮絶な過去や、優しさからきているのだろう…痛む胸は御門違いなのかもしれない、過去は戻せない、過去や自分のことをあまり話さない彼の生い立ちを詳しく知っているわけでもない、自分は何か出来るような人でも、力がある訳でもない。しかし、それでも彼のことを守りたいと思った。己にできる方法で。今回割れた相手のアジトは山の中、大人数で立ち回るにはあまりにも厳しい状況…ならばここが自分の役に立てる時。潜入、暗殺、情報収集…彼が表立って辛い選択をする時、自分は裏で汚れ仕事をしよう。今回人のいない場所で会えたのは幸いだった、この話をするには人目はないに限るから。「榊さん…敵に関してお話が」周りを確認してそう切り出す話は己の単独任務として潜入させてもらえないかというもの。しかし、それはあくまで形式上。断られたとしても勝手に潜入するし、チャンスがあれば暗殺もする。ただ、彼に何も言わずにそれをしてしまうのは彼の中の先代に対する葬いが、できないような気がして。)
>>垂
…あぁ、すまないが私は酒は結構。(だから自分のテリトリー以外の暗殺任務は嫌いなんだ。危うく本音を叫びそうになる。何故なら横に座る女性…もとい女装した男性はこの国の中でも指折りの武力、中国マフィアの右腕の筈。何故ここに?まさか相手もこの男を狙って?と疑念を持ちながら自分を連れてきた男を見やる。そう、今回の任務はこの男の暗殺であり、面識を持ち、ここまで油断させるにはそこそこ骨を折っただけあって『どうか邪魔はしないでくれ』との願いも強く。この店は男の紹介で入ったが、この男も相手は初めて見たらしく、鼻の下を伸ばして彼の名乗った水仙の名を上機嫌で呼んでいる。他の女の子も増えてきたところで相手に対してメモに小さく「邪魔はしないで欲しい」と書いたものを密かに手渡し)
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