小説家 2018-11-29 01:25:00 |
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どうにも、誰かさんの面影が重なって仕様がないお嬢さんだった。
…お前さんもそう思っただろう。
(彼女の後ろ姿を見送り少し冷えた夜の空気に着物の袖口に腕をしまいつつ、玄関の戸を閉めて振り向いた相手の好意的な言葉を聞いては笑みを浮かべて。暖を求めて居間へと戻りながらも、おそらく相手も同じ事を感じていただろうと同意を求め。時折感じた彼女の視線も、話している時の僅かに上擦った声も、小説の話をするときの輝いた瞳も、彼女の仕草のひとつひとつに過去を思い出して重ねてしまうのは自分だけだろうか。お互いに「尻尾を振っているのが見えるような」という比喩は心の内にしまっておこう。自分の小説をよく知ってくれているというのは担当としては非常に心強い事、相性の面でも心配は無さそうだ。加えて相手との年も近く話も合うようで、その点も問題はなく現時点で気を揉むような要素は無く、初顔合わせにしては珍しく機嫌も上々だった。)
(お気になさらず。小説家にお付き合い頂き、のんびりとでも一緒にお話を紡いで行けることが嬉しい限りです!)
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