山姥切長義 2018-11-14 21:27:41 |
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(一人にさせて欲しいという願いはすぐに聞き入れられて、短刀は部屋をあとにするとそれを見送り再び壁にもたれ掛かり溜め息をつく。これから自身はどうなるのか、そういった不安も僅かにあるがそれよりも自身の心の内を多く支配していたのは朽ちた本丸に帰れない絶望、主や仲間達への申し訳ない想い、そして何よりあの偽物への怒りであった。それらがぐちゃぐちゃに掻き混ぜられまたじわりと涙で視界が歪む。止めたくても止まらないそれは、ぱたぱたと畳へと落ちていき音を立てる。小さく嗚咽を漏らしながら「…っう、すまない、主…皆……っ」と呟けば自身の手で顔を覆う。敵が襲撃してきたあの時、ただ守られ守るべきはずの主達に何も出来なかった自身が情けなくて、1番嫌いだ。自己嫌悪に陥りそうになったその時、廊下の板が軋む音が耳に届いた。ピク、とそれに反応にそちらへと顔を上げ視線をやる。それは今1番会いたくない彼の気配で涙を拭えば思わず声を上げる。)…一体俺にまだ何の用があるんだ、偽物くん。お前と話すことは何もないと言ったはずだ。
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