山姥切長義 2018-11-14 21:27:41 |
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(本丸を離れる間、しばらくは暴れながら『離せ、降ろせ』と訴えていたものの誰もそれに応えようとしない。最後尾を歩く偽物に置いてはこちらを見ようともしない始末だった。抵抗する事にも疲弊し、ももう何を言っても無駄だと諦めた頃には彼らの住まう本丸へと辿り着いていて。落ち着いたものの変な行動をされたら困ると担がれたままであったが隊長である彼が客間に連れていくことを頼みこちらに背を向ける形で遠く離れていく。「くそっ…」悔しげに眉を寄せ届かぬほどの声でポツリと呟けばいつの間にか客間へと着いておりそこでやっと降ろされると座るように促され力なく部屋の隅に座り込む。自分自身でも本歌らしからぬ行動であることでは分かっているが今は何もするような気力も体力も残っていない。ただ虚空を見つめぼんやりとしていると襖が開かれお茶と菓子を載せた盆を持った短刀が入ってくる。『先程主より少しお話を伺いました。心中お察しします。今はそのような気分では無いことは分かっていますがどうかゆっくりとお過ごしください。』傍にあった机に盆をのせこちらへと視線を送られる。そこには同情やそういった感情は無く、同じ主に使えるもの同士だからこそ掛けてやれる言葉でもあるように思えた。確かに今は何かを口に入れられる程の余裕はない。それでもこの小さな短刀の気遣いを無碍に出来るほどに落ちぶれている訳でもない。しっかりと笑えているかは分からないが、口元に笑みを貼り付けて)…気遣いどうもありがとう。後で頂くよ。申し訳ないが、今はもう少しだけ一人にさせて欲しい。
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