艶 2018-10-27 21:19:25 |
通報 |
(たらりと落ちた蜘蛛の糸、その糸を掴み上り切る先は極楽浄土か。何の下心を持つのか、目の前の随分でかぁい男は見受けをすると申し出る。多額の金は己の価値をそっくりそのまま知らしめ、此処で生きて来た価値は随分有ったモンだと下卑にもニヤケ面が止まらない。共演者の大きさを売りにした姉ちゃんと同じくらいの大きさか、教えられた名前を繰り返さずに渡された紙きれを受け取り。読めやしないその字面を先ずは数秒程穴が開くほど食い入るように見つめ。ちょん、と尖らせた唇で思うのはこの文字が"アクツウキョウ"と読みを持ち、大きく浅黒い怪物を見受けする変人の"名前"なのかと。瞬間、見つめていた字面が二重にも三重にもぶれた。力強く押しつぶされそうなくらいに頭に衝撃が走れば、それが褒められる際の行為だと紐づき"きゃらきゃら"と愉し気な笑い声を。「俺はエン。字はむつかしいんだ、でもほら。団長ちょいと書いてやってくれよう、俺の名前。」か細い指を聞かん坊に伸ばせば彼の手に有る万年筆を毟り取る様に手の平にぎゅうと握りしめ、こぶしを握る様に掴んだそれを団長と呼ぶ肥えた中年に渡し。万年筆と共に手に有る彼の名が記された紙きれを渡せば"隣な、ウキョウって書かれたとこの。隣"と何処がウキョウの字かも知らぬ無知たる阿呆を露呈するようにあぁしてこぅしてと喧しく強請り。そうして書いて貰った紙きれと万年筆を彼へ戻せば、小さなその手で男を捉えたのは自分だと主張するように大きな彼の手を掴み、弄ぶようにニギニギもぞもぞと指先を手遊びのように動かして「行きはよいよい帰りはこわい。手など叩いて見てる分には愉快愉快の娯楽の様!犬畜生のように飼い慣らそうったって俺は哀れ哀れの脳無し生娘なんかじゃあ無いからな!。失敗したって嘆いたってもう遅いぜ、狸親父があの金を返してくれる訳がねえんだ!」やんや、やんや、先のだんまりは姿を消してチカチカと主張する裸電球のように言葉の雨は止むことを知らず。にたり、と浮かべたその表情は名前通りの艶やかさを持つ、下品な売女のようで教え込まされた歪な性を感じさせ。「帰ろうウキョウ。俺もう疲れた!」例え彼が極悪非道の下賤だとして関係ない、過ごしていた地獄の先が変わるだけ。先の妖艶さは形を潜めあどけなく、無垢な幼子宛らに口をぱっかりと開いて急かす様なそれを。もう一本の腕を使いゴシゴシと眼を擦れば隠すことの無い大欠伸、繋いだ手を体重をかける様にグイグイと引いて「姉ちゃんにしみったれた演目ばっかりすんなよって。じゃないと野垂れ死にだぜって伝えといてくれよう。後、ろくでなしどもにざまあみろ俺が一等に可愛いから貰われんだぞって。俺はウキョウと一緒に行くからもー会う事は無いぞ達者でなあって。」今頃肉の入っていない鍋でも突っ突いてるのだろう彼らを頭に描き、笑い飛ばしてひらひらと腰元のリボンを揺らし短い別れの挨拶を置いて)
(/いつまでも待っておりますので気になさらないで下さいませ…!。素敵過ぎる右京様に釣り合えるかが不安でして、どうぞ絡み辛い等有りましたらご遠慮なく伝えて下さい…!。また、久しぶりの艶ゆえにイメージと違うなど有るかもしれず…、精一杯右京様に釣り合えますよう頑張りますので是非お相手をお願い致します!)
トピック検索 |