匿名さん 2018-10-13 23:17:46 |
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(壊れてしまった薇人形のように繰り返し、繰り返し、全く同じ言葉を口にする。
もしも、その言葉が他の言葉で在ったならば気に留めることはしなかったのかもしれない。
端正な顔は、どれほどくしゃりと萎んでも、その美しさは姿を消さないのだと初めて知る。繰り返される自身の名前、それを言い続けるのは異形の人、明らかに平凡から足を踏み外している現状に気付いているがすっかり深みに嵌っている。)
椎名神社の巫女、月白です。
あなたは誰なの? 私の名を何度も呼ぶなんて、……呼んだのに誰だと問うなんて、変な話ね。
(怯える事も、怖がることも、少しも無いまま、ぞっとする程に綺麗な姿を瞳に映す。
能面の如く表情の変化しない顔の儘、気丈を保ちつつ返す言葉は少しの意地悪を含む。それは、彼が手の平を返したように見せた反応の違いに気づいたからこそ。
風の音、木々の揺れ、そうして人とは思えない端麗すぎる異形の者。怖くないと言えば嘘になる。それでも怖さだけではない、年上のような彼が余りにも可哀そうで。指先を僅かな力で丸め、緩く握れば二つの眼は逸らすことなく真っすぐにその姿と向き合って。)
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