匿名さん 2018-10-13 23:17:46 |
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月白...あぁ...本当にキミかい。月白。
(言葉に詰まり、それでも思うことを伝えたく、途切れた糸を紡ぐように必死に言葉を探る。
人の体は本当に不都合なものだ。感情は心から堰を切るように溢れるくせに、それらを喉から出そうにもつっかえて何も出ない。溜まりに溜まったそれらが互いにぐちゃぐちゃと混ざり胸の中で荒ぶるせいで痛みを覚える。
何かに取り付かれた様に「月白」と呟き続け、やがて胸の鼓動に耐え切れなくなってはその脈打ちに負けんばかり速さで足を動かしては)
───アンタ、誰
(口元を綻ばせ、頬に垂れ行く熱いものを感じながらその人物に近づけば。近づいて行く度、見えていた世界がが音を立てては崩れていく。
─違う。違う。違う。ぼやけていた視界が徐々に焦点を探し当てて行くと、歓喜は絶望に変わり、奈落に吸い込まれるかのような何かを感じる。
手を伸ばせば相手に触れられる距離まで近づいた結論。これは、彼女ではない。月に濡れた髪、潤んだ瞳、どれも似てはいるが─月白ではない。忘れるはずもない記憶の人物と目の前の人物は、女の人間という共通点程度しか見つからない。
その結末は過酷なあまりに声は凍り付き、困惑と不審を隠さない表情で相手を見下す。夜風がざわついては、木の葉を揺らし、その不穏な音だけが辺り一面に響いて)
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