語り部 2018-09-08 13:28:04 |
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>ALL
――冥界に月は浮かぶのだろうか
(ぽつりと零れた独り言が、冷たく冴えた夜気を誘った。死の使者である己が冥界の疑問を口にするのは些か不自然かもしれないが、如何せんあの世界では目にしたことがないのだ。屋敷のバルコニー、そのフェンスの上に黒い靄が蠢いている。その靄の中、覗くのは禍々しい牡山羊の頭蓋骨。さらにその奥には、闇夜に浮かび上がる金色の双眸があった。天上には月、地上には我楽多の如く寄せ集められた我ら魔物衆。煌々と天に鎮座する月は、我らを嘲笑っているようにも、優しい月光で包んでくれているようにも見えた。否、馬鹿馬鹿しい。この世の全てに絶望しなければ、この魑魅魍魎の巣には辿り着けやしないのだ。一度扉を開いてしまえば、もう戻れない――戻りたいとも思わないだろう。この館が心地良いわけではない。此処にいれば胸が冴え渡り、もやついた気持ちなど飛んでいってしまう、そんなわけでもない。ただ、本能が叫んでいる。自分の居場所はここなのだと。夜に生き、闇を抱き、魔道を歩む者達が、この世の最後の救いを求めて命からがら縋り付くのが、この洋館なのだと。古くから此処に住む過干渉の死神は、そう認識していた。かくいう己もそう、寄る辺を失いさ迷い続け、今ではこの屋敷に居着き、古参の顔をして同じようにボロボロに成り果てた同胞たちを待っているのだ。愛しい。彼らのことを、どうしようもなく愛しいと思ってしまうのだ。ふ、と自嘲の笑みを零すと、それをかき消すようにざあっと木枯らしが吹いた)
(/改めましてはじめまして、過干渉の死神の背後にございます。愛したがりの愚息は、皆様に馴れ馴れしいほどお節介をかけに行くことが多々あるかと思いますが、適当にあしらったり、共に依存へ落ちたり、様々な人間(?)関係を紡がせて頂ければと思います。絡みにくい、描写が分かりづらい等のご不便がございましたら、お気軽にお申し付けくださいませ。それでは、素敵な闇を。)
>Isabella
――お早う。濡れてしまわないか、其処は
(ふと、魔力のざわめきを感じて顔を上げる。ぼうっと夜闇に沈むのに夢中になっている間に、彼女が目を覚ましたようだ。迎えに上がらなくては、と無意識に思う。黒い靄は、空中を滑るように、人が歩くより何倍も速い速度で屋敷の中を移動した。赤い花弁が視界の端に映る。嗚呼美しい、と反射的に感じる。それが少女の形を成すのをじっと待つ――月を見上げるパウダーブルーの瞳に、声をかけるのを一瞬躊躇う。誰にでも、何かを見つめて物思いに耽りたい時間はあるものだ。ああでも、このまま彼女を雨の下に晒しておくわけにはいかない。背後から穏やかな口調で声をかければ、ふわりと近づきつつ、後ろから彼女へ覆い被さるような形で、実体化させた靄のローブをレインコート代わりに広げて)
(/お初にお目にかかります、過干渉の死神の背後でございます。PFを拝見させて頂いた時から、一刻も早くこの小さく偉大な魔女様を慈しみたくて仕方ないと思っておりました。背後の都合上、頻繁にお返事出来るのは10月以降になってしまうのですが、何かご希望の展開等ございましたら是非ともお聞かせ下さいませ。それでは、今後とも宜しく御願い致します。)
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