あかつき 2018-08-01 17:39:01 |
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と言っても、早々に本でも売って稼がないと、買い取る資金も底を尽きそうだった。
『…ンしょ、ンしょ。』
不意に声が聞こえる。
何かに苦しんでいる様な、何処か潰れた様な…あ。
『コレだけ、クダサイ!ココニハ、とてもイッパイの本アリマスね!ワタシ、とてもハッピーです!』
どん、とレジカウンターに置かれた本の山。
マジか…この一ヶ月の売り上げよりも、きっと高い金額になりそうだった。
「あ、はい!えっと、1980円…650円…。」
間違いが無い様に値段を読み上げながら、レジに打ち込む。
有名な作家の小説から、俺が名前を知らない作家まで。様々な本、全部で32冊もあった。
しかも金額は合計すると27820円。
「有り難う御座いました!またのご利用、お待ちしてます!」
外国人は自分の背負っていたリュックに20冊程を詰め、残りは俺が入れた紙袋のまま持って帰って行った。
俺は外国人の姿が見えなくなったのを確認すると、レジカウンターの中で思い切りガッツポーズをした。
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