あかつき 2018-08-01 17:39:01 |
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表紙にも裏表紙にも何も書かれていない、真っ赤な不思議な本。
背表紙をもう一度確認すると。
「夢の世界に行ける本。」
やはり、何度見てもそう書いてあった。
夢の世界とは、一体何の事だ?よく分からない。
童話のアリスの様な世界か?
「いや、ありゃ不思議の国だ。」
何て、自分でつっこんでは見るものの、やはり不思議だが不気味にも思えるこの本。
こんな趣味の悪い本、何処が出版してるんだ?
裏表紙を捲り、最後のページに出版社等の情報が書かれていないか確認する。
「月島 幸宏に捧げる。」
…は?
【月島幸宏(つきしま ゆきひろ)】は祖父の名だ。
その月島幸宏に捧げるって事は、祖父に贈られた本って事なのか?
「いや、それ売っちゃってたのかよ。じいちゃんも結構おっちょこちょいだな…ん?」
そういえば、この一ヶ月、こんな赤い本を見た事は無かった。
何より、先程見た裏表紙にも表紙にも値札シールなんて貼られていなかった。
「…まさか、今日急にこれが現れた?…何てな、んな訳ねーか。ま、本に擦れて剥がれたか何かだろ。」
一度は真顔で呟くも、すぐに肩を竦め無い無い、とばかりに首を振る。
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