あかつき 2018-08-01 17:39:01 |
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ま、何もしないで家に居るよりは何かとマシだろう。と、親父に言われ今此処に居る訳だが…。
「親父…マシじゃねーよ、客なんて一日に三人来て良い所だっつの」
これならコンビニでバイトする方がよっぽど儲かる、と俺は思う。
しかし埃っぽいな、はたきを手に店内を回れば本に被った埃を少々荒く落としていく。
ぶわっ、と舞う埃に眉根が自然と寄り顰めっ面になる。
「これ、ハウスダスト駄目な人死んじゃうレベルじゃねーの?」
何て、また皮肉を言いつつ埃を落としていくと、ふと一冊…赤い背表紙の本が目に留まった。
「夢の世界に行ける本。何だそれ、意味分かんね。」
と、一度は視線を逸らしはたきで叩き始めるも、再びその本に視線を戻す。
「売り物は読んじゃいけない、なんてじいちゃん言ってなかったしな…。」
何処か言い訳する様にその本を手に取るとレジカウンターの中に入り、置いてある椅子に腰掛けた。
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