ヴァンパイア 2018-07-19 17:51:28 |
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……誰だ。どうやってこの部屋に入ってきた、この部屋は僕の家だぞ
(結局夕方までじっくりと本を読んでしまい部屋はまっさらなままで赤い日が部屋に差し込んでくる。この本は読み切ってしまおうと未だソファに座っていると扉の前に人の気配を感じた。それだけならば特に気にすることもないが、その気配はあろうことかこの部屋へと入ってきたのだ。鍵を開けるという至極真っ当な方法で。途端に緊張感が体に走る。本をテーブルに置くとゆっくり立ち上がった。現代では極少数になったものの自分達、すなわちヴァンパイアを狙うヴァンパイアハンターなるものは存在する。居場所を嗅ぎつけられたのだろうか…背筋を伸ばし顔には警戒の色を添えて『訪問者』を迎えいれた。部屋に入ってきたのは手入れのなっていない銀髪と髭を携えた男。ビニール袋には安い酒…金のために誰かに雇われたのかと頭に思考が巡る。美人だなんて適当な言葉には不快だと言わんばかりに眉をひそめた。だが気になる言葉もある。あいつも今『人ん家』と言った。相手もここが自分の部屋だと思っているのだ。この男はどう考えても自分の命を狙っているようではないし、この部屋の鍵を持っているのも気になる。相手を手のひらで制しつつ「待て、確認する…」と言えばスマホで不動産業者に電話をかけた。しばらく電話でのやりとりがあったあと「は?」「ふざけるな」「そんなこと許されるはずないだろ」「断る」と否定の言葉が続き、だが最後には苛立ちの息と共に電話を切った。そして睨むように相手をみる。その瞳には『厄介なことになった』とこれからの波乱が映し出されているようだった)
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