吸血鬼 2018-06-27 00:10:52 |
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いいんだ、僕はちゃんとこうして生きてる。君の謝罪の言葉は十分伝わってるよ。だからもう自分を責めるな
(繰り返し謝罪の言葉を口にする彼の背中をまた優しくさする。ラザロは吸血をしてしまてば自分を赦せないだろうと言っていた。それならば自分が答えた言葉通り、彼が自分を赦せるまで傍にいてやるまでのこと。だが彼が突然驚いた顔をしてこちらを見たあと言い放った言葉には思わず吹き出してしまった)
え?ははっ、僕が魔法をつかえるわけないだろ。今のは僕から君への……親愛の、キスだ
(まさか魔法なんて言葉が出てくると思わずクスクスと笑いを漏らす。ただ彼へのキスは挨拶や子供へするような、軽いものとは少し違った気がする。だからこそキスの意味を伝えようとした時に少しだけ言葉に詰まった。親愛、というのもどこかで腑に落ちない。モヤモヤとした気分を抱えたままだったが、その気持ちを吹き飛ばすように不快な声が室内に鳴り響く)
なっ…勘弁してくれ_____今の君がやったの?…僕の血を飲んだから、か
(室内には壊れた音声のような魔女の声が、視界には不気味に口を動かす絵画が移り、その不気味さに体が震える。魔女の声が弱った体に響いて頭をガンガンと揺らすようだ。直後ラザロが怒りの感情を込めて絵画を睨むと絵画は粉々に砕け散る。それこそ魔法のように。だが魔女の声は消えず狂った笑い声が周囲に響いた。その声もラザロが手を叩くと一切止んでしまい周囲に視線を巡らせてみるが何か風景が変わったわけでもない。今までにみてきたラザロの力とは明らかに違う、その変化の理由は先程の吸血行為だと合点がいった。本来の彼はこんなにも力があるのかと思うと同時に、この力を持ってしてもこの屋敷を抜け出せなかったのかと改めて魔女の執念を思い知らされた)
罪滅ぼしは受け取れないけど、応急処置はして欲しいかな。ん…動かないようにするから、うまくやってくれよ
(未だにシュンとした表情を浮かべる相手に変わらず微笑みを向ける。彼が何をしようとするか確認もせずに、噛まれた場所を大人しくさしだした。今のラザロは自分に危害を加えないという確信があった。だから首を差し出すのを戸惑うこともしない。首にひんやりとした手が添えられ、彼の唇が傷口に触れるとピリッと小さな痛みが走る。それでも、ハリーはベッドの上で大人しく体を動かさないようにしていた)
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