吸血鬼 2018-06-27 00:10:52 |
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……案外、深層意識では真逆なのかもしれないな。無意識下で他者との繋がりや温もりを求めているから、本能的に人へ温かく接しているのかも。与えよさらば与えられん、と言うしな
(自分の行いを反省するかのように首を振るハリーを眺めつつ、ふと頭に浮かんだ何の根拠もない仮説を述べる。もしかしたら彼は、自分で言うほど一人が好きなわけではなくて、ある程度誰かとの繋がりに飢えているのではないか、と。それが当たっていようがいまいが、ハリーの持つ優しさは先天的なものであることに、疑いはなく)
そうだな……もし今、俺がこの屋敷に囚われず自由の身であったならば、より美味い血を求めて旅をし、使い魔たちと名実共に満たされた日々を送っているだろう。この屋敷には、死ぬことしか残されていないんだ。出来ることならば……夜風を感じ、仄かな月明かりの下で、悠々と生きていたい
(確かにここは、死ぬには最適な空間である。だがラザロが緩やかに死へと向かいつつあるのは、決して彼の本意ではなく、間違っても死にたいわけではないことを説明して。ふと応接間の分厚いカーテンに触れ、少しだけそれを捲って遥か遠くに鎮座する月を見上げながら、同じくらい遥か遠くに位置する今はなき自由へと想いを馳せて)
…………そうか。だが生憎、その願いは叶えられんな。俺はこのまま何も口にしなくても、少なくとも人間のお前よりは長生きする。お前が望まずとも、俺が最期を看取ることになるよ、ハリー
(ハリーが、この屋敷に閉じ込められたことに少しでも前向きな姿勢を持ったことに驚きながら、深く頷く。彼もまた、心に深い傷を負っているのだろう。そのことについて気になりつつも、今は彼の過去を探るより、どこか悲しそうな様子の方が気がかりだった。彼は一人で死にたいと言うが、果たして本当にそれが心の底からの本音なのだろうか。そう思いを巡らせつつ、もう一つ気になるのは、彼が未練と口にした夢のことだ。人との繋がりを断つことは本来簡単なことではないが、彼はそれをあっけらかんと達成している。そんな執着心の薄そうな彼がそこまでしがみつく夢なのだから、よっぽど大切な夢なのだろう。そしてその夢は、この屋敷の中では叶えられない。ラザロは少しずつ、本当はこの屋敷からハリーを解放してやれる方法が一つだけあることを打ち明けようかと悩み始めていて)
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