匿名さん 2018-06-10 12:20:27 |
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え? ……そうなのか? ふーん……
(相手の解説に相槌を打つも、知識の不足から今一つ内容を理解できず。恐らく、相手の解説は本来は分かりやすいのだろう。何故なら、流れるように紡がれた言葉は簡潔で、耳に違和感も持てなければ、頭の中で反芻しても難解な印象も与えられなかったのだから。ただ、それを受け取る自分自身の方が、どうにも機械で服を作る図が想像できなかったり、途中で出てきた何だか格好よさげな単語の意味が分からなかったりしただけ。しかし、それがバレてからかわれでもしたら癪なので、さも納得したかのような表情をし。その後すぐに相手に服の好みを聞かれれば、相手だったらそういうことを聞いてくる可能性があるとそろそろ察せても良さそうなのに、積年の経験からまだそのような気遣いに不慣れで、如何にも予想外だったという感じに「え」と言葉をもらし。続けて、予期せぬ申し出に戸惑うように少し赤くなって「オ、オレはいいよ……」等と小さな声で答える一幕もあったものの、結局街歩きをする中で、様々な手回り品の買い足しが行われ)
* * * * * *
(日もとっぷりと落ちて、窓から漏れる灯りに誘われるように機嫌も良さそうな相手と見つけた宿に入れば、廊下に虚ろな影があり。多分まだ20代か、盛っても30代前半、それなりに若そうだが、痩せていて血色も悪い奴隷がそこにいて。……ケチで商いのセンスもない主人なんだな、市が近いなら、一層しっかり食べさせて休ませた方が商品価値だって上がるだろうに、と思った。冷酷な感想かもしれないが、売買される立場の者や底辺にいる者たちは縁遠い存在ではなく、むしろ触れ合うこともあったからこそ、心を揺らすよりも状況分析の方が先に立ち。多分相手にとっても、奴隷なんて、今さら大きなショックを受けたり、珍しかったりするものではないだろう。だが今は、直前まで上機嫌だったこともあってか、不意にその人が視界に入ったタイミングで相手が纏う雰囲気が少し変わったことに気付いて。……それでも同情を寄せたところで出来ることはない。きっと相手もそれには同意するだろうが、だけれど、僅かでも心を痛める様に "やっぱり、優しい奴" と密かに思えば、相変わらず表情に大して愛想はないものの、静かに気遣うように、肘で相手を軽くつついて、さりげなくこの場から早いところ立ち去ることを促し)
部屋、行こうぜ。
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