アリスは憂鬱な夢を視る　/　半無登録、指名制　/　NBL　/

>フラミンゴ

うん。気ィ遣い屋さんなんやなァ。かわええと思うよ、そういうところ。( 小さく息を吐き出すように笑う姿は年相応もしくは想定年齢よりも幼く見えた。彼は恐らく卑屈な風に考えているかもしれないが、自分のことを想って発言してくれたのだろうと受け取ることが出来、そうなると優しい以外の単語が思い浮かばなかった。目を伏せ柔らかな笑みを浮かべながら素直な心境をそのまま口にしては“よろしゅうに”と軽く頭を下げることで改めて案内を願い。似ている。その単語ひとつでただでさえ浮かれている心がさらに浮かれるかのように、ぱあっと明るくなる。それほどまでに自分は帽子屋を好いているし、帽子屋のアリスと名乗れることがとても嬉しい。「ほんま？ふふ、嬉しいわァ。初めて会おうたのが帽子屋さんでなァ、それから一緒に住まわせてもろうてるんよ……フラミンゴさんは帽子屋さんと仲ええの？」嬉しさが溢れんばかりに、表情が綻ぶ。目は細められ、目尻は下がり、口角はあがり。ニマニマという効果音がよく似合いそうな表情になっているに違いない。ふと気になったことを問いながら、自分の歩くスピードに合わせてくれる辺りも優しいと感じては心がぽかぽかする。一度だけ振り返り遊園地を外から眺めると夜だからだろうか。ちょっとだけ薄気味の悪さを感じるも、それでも楽しかったと思える場所であれば今度は日中に来ようと心に決めていたところで、問われれば自然と視線を前へと戻す。「涙の湖？聞いたことはあるけど、行ったことはないなァ」身長差のある彼を見上げながら、地名というか場所というか、そういうのは一通り教えてもらったが全部を回るにはまだまだ時間が足りないと思う。並ぶ言葉にふんふん、と数回頷いては「初めましてと久しぶりに、なるんやなァ。フラミンゴさんは、あんまり外に出るのは好きではないん？」行き先で出会うであろう住人に挨拶する言葉を思い浮かべては意味もなく可笑しくて笑い声を漏らす。彼なりに気を遣ってくれているのだろう、ということが伝わってくるような気がして自然と此方からも言葉を返せば不思議そうに首を傾げて )