赤の女王 2018-06-06 13:39:59 |
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(人付き合いが苦手なコミュニケーションが不慣れな性分ゆえに次から次へと言葉を落としてくれる彼女の対応は肩の力が抜けるようで情けなくも気が楽な思いになるらしい。加えて言うならば自身にとって他ならない恋人の話す方言と似た喋り口で彼女が言葉を綴るからだろうか、初対面ながらに親しみ深く初めて会った時特有の居心地の悪さを感じないらしい。そんな事を頭の片隅に置きながら丁寧な挨拶を向ける彼女に釣られて浅く顎を引くような不器用な会釈を先に、帽子屋と聞けば少しばかり声のトーンを上げつつ「へぇ、帽子屋んトコの。元気にしてるかァ?クリスマスプレゼントの相談をしたいからフラミンゴが近々顔出しに行くって伝えてくれョ」近付く行事を引っ張り出しては自身にとって尊敬憧憬に値するファッションデザイナーの彼へ言伝を。自身のゲームを知らなかったなら、もう一つのゲームも知らないのではないだろうか。そんな余計なお世話を頭に描いて懐に隠す懐中時計を一瞥、時間を見れば今の時分のミニゲームは終わっても問題がないと確認し「……」とはいえ、何かを誘うというのはハードルが高かったらしい。何かを言いたいが言えない息苦しい間を暫し作っては視線を泳がせるように伏せて「海賊船のゲームはもうやったかァ?」絞り出すように持ち掛けたのは自身同様にゲームを行う人魚のそれで、「もしまだならやった方が良いぜ。流しちまうのは勿体ないから。──もし行くなら俺が連れてってやるよ」ポリと頬をつめ先で引っ掻いてやっと誘いの言葉を送り。そこまでしてから隠しきることが出来なかった卑屈精神が顔を出し、バッと顔を上げれば広げた手の平を彼女へと向けて「いや、いい、気持ち悪いオッサンの余計なお世話だった。お前の話し方が恋人に似てるから要らねぇことまで口が滑ったみてぇ。」決まりが悪そうにモゴモゴと彼女が断りやすい空気を作るべく言葉を畳み掛けて)
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