赤の女王 2018-06-06 13:39:59 |
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>リトルオイスター
そんな危ないとこあんの?うわー、超初耳なんだけど。ついこの間行ったとこだし。(あの日、夕暮れの頃には遊園地を出て赤の城に戻っていたことを思い返す。あの時は衣装選びで舞い上がってそんな話をするどころではなかったし、まさかあんなにも楽しい場所に知られざる危険が眠っているなどとは思いもしなかった。メモメモ、と相手の身振りに乗っかるように掌をノートに見立てて書き込むフリをしつつ、それでも大切な事は聞き逃していないと「ん!覚えたあ。」そう言ってこくんとひとつ頷く。未だこの国における行動範囲が狭い自分にとって、新しい地名だけでなく海賊船と言う何とも好奇心を擽られる単語を耳にしては楽しみにせざるを得ない。然しひとつ懸念事項があるとでも言いたげに唇を尖らせたかと思うと「海賊船超行きたいんだけどおー、ここ結構歩くじゃん?乗り物とかあんま見ないしさあ。遠いの?涙の湖って。」と、歩きたくないという主張をはっきり表情に滲ませながら横着な質問を投げ掛けて。抜群の衣装選びが出来たと思っているからこそ、お披露目出来る相手はひとりでも多い方が良い。これまで一貫して自信満々、騒がしさを保ってきた相手がほんの少し違った挙動を見せたことが嬉しくて、わざとらしくジト目で相手を見詰めながらにやにやと揶揄いの笑みを浮かべては「なあに、まさかリトちゃん照れてんの?」といじりにかかる。思いがけず楽しい約束を取り付ける事が出来たという事実がそうさせるのか、更に何割か増しの上機嫌ぶりではた、と思い出したように「あっ、お土産買わなきゃ。」と漏らすと、他でもないこの日の買い物の為の資金繰りとして疲れない、爪が傷まない、そして仕事終わりのティータイムと言う何とも美味しい仕事を提供してくれた彼へのお礼をと、何かを探すように店内を歩いて「…あったあった、これにしよ。」、そうして籠の中へにんじんの形をしたキャロットクッキーを放り込み)
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