赤の女王 2018-06-06 13:39:59 |
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>帽子屋
(赤いルージュが輝く唇から吐息が模れれば不思議そうに首を傾げる。強いという言葉が自分に合っているのかがわからない、何故なら帰りたくないだけなのだ。ある意味、自分のしていることは現実逃避。自分の過去を知らない彼か彼女からは強さに見えるのだろうか、そんなことを思いながら頭をひと撫でした心地良さに目を細めた。予想外の言葉に驚くものの嬉しいものだ、此方で使える金が例え元いたクニと同じものだとしても無一文なのだから。「いいのかえ?やった。らっきー、といえばいいのだろうなァ」この先、どこかで働くにしても服よりも靴の方が必須だろう。変に遠慮して断るよりは彼か彼女にとっても自分にとってもいいのかもしれない。そんな風に思えば自然と笑みがくしゃりと溢れる。そのあとの提案も喜ばしいもので、たった今出会ったとは言えど、今この場所で頼りたいと思えるのは目の前にいる彼か彼女なのだ。ならば答えはひとつしかない「行きたいわァ。帽子屋さんはお洒落さんやから羨ましい思っとったんよ──帽子屋さんと二人きりだったとしても行くわァよ?」彼か彼女…とずっと思っていたが彼は彼らしい。然も気を遣える辺りから根っからの同性愛者というわけでもないようだ。こんな風に優しく声を掛けてもらったのはいつぶりだろう?人と会話をするということがこんなにも楽しいものだと思ったのはいつぶりだろう?数度頷いてから悪戯っ子のように口角を上げ茶化すように答えては「アリスっちゅう素敵な名前があるさかい、きちんと名乗らんでも良いだろうけど……一応、犀、転と申します。本名は忘れました。サイコロが好きだから犀転っちゅうんですわ。よろしゅう」名を名乗ったとてアリスと呼んでもらえるのならば名を名乗ったとて変わりはしないのだろうが、折角初めて出会った人で良くしてくれるというのだ。自己紹介くらいはきちんとせねばと名乗りながら右手にあるサイコロを高く投げて右手でキャッチすると人差し指と中指で二つのサイコロを見せるように顔の横まで持ってきてはニッカリと微笑んで)
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