赤の女王 2018-06-06 13:39:59 |
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>鷹島
(図書館内に籠ってばかりでは体が鈍ってしまうと気分転換がてらの散歩に出ようと考えた事が良かった。バルコニーに出て煙草を一本口に咥えて煙を吹かしていれば見覚えのある彼の姿を見つけた事で表情を明るくし片手を持ち上げる。すう、と短く息を吸い込んでから「やあ!やあ!帽子屋邸のとこのアリス!久しぶりじゃないの、元気だったかい」見間違えの可能性なんてほんの少しも考えずに張り上げた声で話しかければ吸っていた煙草はすぐに灰皿へ落とし「今そっちに行くからそこで待ってて頂戴ね」見失う可能性をなくすために待った待ったと騒がしく言葉を続けてからその場から姿を消して。そうしてほんの数分の内に扉を開いて姿を現すと年甲斐の無い駆け足と運動不足に呼吸を乱し「───っあ、っはー、苦し、」と情けない独り言をぜえはあの呼吸の合間に落としてから乱れた呼吸を整えるために一度酸素を深く吸い込み長く吐き出して改めて彼へ向き直ることが出来た。に、と力強さの浮かぶ笑みで口角を持ち上げると「何だ何だ、ここへ来るなら手紙の一つでもくれたら良かったのに。今日は帽子屋が一緒?どうなの、元気にしてたのかい?僕はね見ての通りの元気も元気」久しぶりの顔合わせだからか浮かれる様に言葉が次から次へと零れ落ち、この場に見られない帽子屋を探す様に視線だけを一度周囲へぐるりと回し。当然にも見つからなければそれさえも二の次に変わり、今度は馴れ馴れしくも彼の背中をパシパシと軽い力で叩いて)
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