赤の女王 2018-06-06 13:39:59 |
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>惣雨介
(アリスに何かが有ってはいけないと思うのがこの国の普通であり、そう思えばこそ何も起きないように傍へその存在を置いておきたいと思うはずなのに、かのグリフォンはそうせずに自由に行動していいと告げたらしい。ちょいと黙っていれば飾り物のようにショーケースに飾られていてもなんの違和感もないだろう端麗たるその顔が、不安から一転して緩む様はむしろこの方が良いとちょこんと顔を覗かせた犬歯の可愛らしさがより一層とそれを強める。"そう"と短く相槌を先に置いてから、たとえ個々の誰かが自由を促したとてそれを鵜呑みにして気儘と国を出歩くなんてと考えるのは年のせいだろうか「アリスは、ひなと?」繰り返し形のよい唇から紡がれる同じ単語、それが彼の一人称なのだと探ればある種唐突とも思えるタイミングでそれを話題として持ち掛けて。一生懸命に状況を説明するその様子を時折ほんの少しだけ頭を縦に揺らして聞いていることを示す相槌を置きながら最後までしっかりと耳を傾けて、そうして一番最初に口を付いたのは「だから鍛えなさいって言ったのに」と言った小言めいた呟きで。グリフォンの性格を思えばきっとそんな注意事を疎ましく思って自分には直接来なかったと言う経緯も十二分に想像がついて「教えてくれてありがとね」と懸命な情報提供に返事を送り。そうして数秒ほど頭の中の引き出しを開くように考える間を置いてから昨日の収穫物が入る麻袋の紐をほどいて「薬は城で貰ってると思うから、これを磨り潰してから煮出して飲ませてあげて」選んだのは青々しい手のひらほどある大きな葉っぱが二枚、それをくるくると巻物のように丸めれば小袋へと入れて「痛み止めだけどアリスは飲んじゃだめだよ、苦いからね」と効能を簡潔に教え。胸を張り子供じゃ無いと訴える様こそ子供らしい、何とも矛盾するようだが余計に幼く思えてしまうと表に出さない微笑ましさすら抱きつつ「でも、俺よりこども。」長いお下げをもったりと揺らすように少しだけ上半身を折り曲げ目線が合うように顔の距離を揃え、突如自分へと向いた質問の内容に唇を少しだけ平行に結び沈黙を数秒。「煙草、吸う時」反射的にこれが好きだと言うのが浮かばなければ趣味と言うには弱い嗜好品のそれを持ち出して、なんの面白みも無ければ話の広げ辛い返答の自覚に「アリスの一番楽しいは何?」と同じ質問を送ることで場を濁し)
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