赤の女王 2018-06-06 13:39:59 |
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>ドードー鳥
(独りになるとますます先程の事が思い出されて落ち着かず、そんな自分とは対照的に衣装館いっぱいに響くほど高らかに笑う相手を内心恨めしく思いながらいそいそと着替えを始める。衣装のまま靴を合わせるに越した事は無かったが、如何せん胸元が開いていてはちらちらと淡い赤が目に入ってしまう。先程までの行いはともかくとして、少なくとも自分が心から気に入っているこの衣装を持ってくるだけのセンスは信じ切っているらしく、髪形だけをそのままに元の服へ着替えを済ませた。改めて姿見へ向かい、顔の赤みも引いて痕もギリギリ隠せそうだ。「ほんっと焦った、マジで焦ったー…」きっかけひとつでまたざわつきそうになる胸をらしくもない深呼吸で落ち着かせてから、再び相手の足音が試着室へ近付いてくるのを聞き取ると「待ってー、今開けるー。」と、緩い返事を寄越す。カチャ、と開錠して味のある木製の扉をそろりと開けると、既に此方へ向けて置かれている相手が選んで来てくれた靴を見るなりぱちぱちと瞬いた。好みから外れたチョイスだったという訳では無い、寧ろその逆である。「うわあ……」と、心を掴まれたことがすぐに分かるごくごく自然に漏れた声と共にそっと足元の靴を手に取ってじっくりと眺めると、全体のデザインもさることながら、まるで自分の為に誂えたように象徴的な対の石に「こんなの持って来られたら他に選択肢なんか無いじゃんね?最っ高、マジ最高!これは許すわ、全然許す。超気に入ったっ。ありがとね!」と、満面の笑みで相手を見詰めながらちゅっ、と投げキッスをひとつにウインクも添えて)
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