赤の女王 2018-06-06 13:39:59 |
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>ムカデさま
(生まれて初めてベッドの上で明かした夜は、随分長かった気がする。慣れない寝具というのもあるが、もっと精神的な面での心細さはやはり拭えない。優しい彼から御守りに羽根を1枚貰っておけばよかったと、何度も後悔した。結局悩み疲れて気絶の延長で眠りにつけたのは明け方で、数時間足らずで浅いそれから目覚めてしまった。裸足でぺたぺたと1階へ降りるも、彼の姿は見付からず。キッチンで水だけ1杯頂いて、日が昇ったばかりの不思議の国へ冒険に出掛けるとしよう。唯一の安全地帯と言えるこの家から出るのは些か勇気が必要だったが、一歩踏み出してしまえば直ぐに涙の湖や瑞々しい森の景観と香りに魅了され、打掛を引き摺る足取りも幾分か軽やかに。さて、今日謁見を賜りたいのは薬を扱うというムカデ様とやら。よもやそれが人の形を持っているとは乏しい想像力の範疇外で、まずは手土産にと他の虫を探す。花が咲いている場所を探し回ること数分、見付けた綺麗な蝶の両翅を柔く掴んで捕獲し「ムカデさまは、こいで満足してくれはるやろか」と不安げに独り言。後は地面を一心に見つめながらゆらゆらと計画性もなく足を進め、気付けば森の深部に迷い込んでいた。だが不思議と恐れの気持ちは少なく、そんな事よりも早くグリフォン様の傷を癒す一助になりたくて「ムカデさまぁ。居らはったらお返事してくだせぇ」片手に蝶、もう片方を口許に添えて地面を見ながら呼び掛けよう)
(/ご丁寧にお返事有難う御座います。上記、承知致しました。それではムカデ様への絡み文を置かせて頂きますので、お手隙の際にお返事頂けますと幸いです。宜しくお願い致します!/礼)
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