小説家 2018-05-27 13:15:22 |
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──紅子、…良い名前だ。
紅子と紅牡丹…何とも粋だね、……嗚呼、素敵な話が書けそうだ。
( 名乗れば僅かに驚きの表情を見せた相手、自分の名を少なからず耳にした事が有るのだろうか。次いで相手が小さく答えた名前は彼女にぴったりなもの。名前を聞いただけで様々なものと関連付けて想像を巡らせてしまうのは作家の悪い癖だ。しかし彼女の枕元に据え置いた咲きかけの牡丹と彼女は随分似ているように思えてするすると二つが絡み合って行く。書き物の方に意識が向くとその一点にのみ集中が向いてしまう。暫し彼女との会話を放り出してじっと牡丹の花を見つめ押し黙っていたものの、少しして頷くと相手に視線を戻し微笑みを零し。今筆を執れば面白いものが書けそうだと不意に立ち上がると相手を見つめてにこりと微笑んで。 )
ゆっくりお休み、…紅子のお陰で筆が進みそうだ。私は書斎に居る、何かあったら呼んでくれ。
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