小説家 2018-05-27 13:15:22 |
通報 |
…勿論。少し待っておいで、すぐに粥を作ろう。
( 暫し相手を見つめてその返答を待っていたが、相手の瞳から僅かに警戒の色が薄れ、唇から溢れた小さな言葉に頷くと優しく微笑んで。女衒から逃げて来たと言うなら自分以外の者が居ないこの屋敷の方が安心だろう。軈て立ち上がると部屋を出て、その静かな足音は遠ざかって行き。彼が戻って来たのは其れから半時足らず経った刻、盆に乗せられた器からは湯気が立ち優しい香りが部屋を充たす。小鉢には彩豊かな刻み新香、食べ易いように小さめに切った林檎、そして温かい緑茶も乗った質素ではあるが食べやすい食事の並んだ盆を相手に手渡して。)
──食べられるだけで良い、少し食べてご覧。食べたら、ゆっくり休むと良い。此処には私以外誰も住んで居ないから、安心して構わない。
トピック検索 |