助手 2018-05-23 21:25:11 |
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(息を止めて水に潜る、それだけの行為だったが背中が粟立つ。身体が嫌だと暴れ出しそうになるのをなんとか抑えるが、長くは持たなそうだった。目を閉じているせいで彼の動きは分からなかったが、やがて激しい揺れと共に爆発の衝撃があった。しかしその時点で既に潜っていられる時間は限界に近く、ゴボ、と水の中で空気の泡を吐き出した。冷え切った身体には力が入らなかったし、酸素が無くなって意識は閉じかけようとしていた。その身体を引き上げる者があった、確かな温度を持った彼の手が腕を引き、鎖を解いて水面へと押し上げられる。しかし呼びかけに答えることができなかった、水が気道に詰まっているような息苦しさがあり彼の声が酷く遠くに聞こえていた。やがてひゅ、と喉を空気が通る音がして咳き込むのと同時に肺が酸素に満たされるのを感じた。終わったのだと理解しながらも、身も心も疲れきっていて、ぐったりと彼の肩に身体を預けた。何だかそのまま眠ってしまいそうだった。身体は低体温症を引き起こしそうなほどに冷え切り、その唇にも色はない。ただ自分を抱きかかえる彼の体温を感じて、微かに声を漏らした。)
──…シャー、ロック…
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