少年 2018-05-05 02:16:36 |
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……あいつらはいないな。
来いよ、降りてきて大丈夫だぜ。
(シダの茂みをがさりと揺らし、急な斜面を一気に滑り降りて岩の上に着地するなり、辺りを注意深く、獣のように光る眼で何一つ見落とさぬよう見渡す──何しろこの決死行には、自分だけでなく、自分にとって大切な人の生死もかかっているのだ。だが今、見つかれば間違いなく自分たちを捕まえる、あの恐ろしい施設の大人は見当たらない。厄介な犬もいない。宵闇に沈む森には、自分と連れしかいないようだ。遠く向こうに見えるのは、崖と崖の間に橋のようにかかっている倒木だろうか? あそこを渡れば、更に先へと逃げ延びることができそうだ。とにかく、今すぐ危険が及ぶことは無いだろう。そう確信してほっと息をつき、いくらか警戒心を解くと、後方を振り返り。まだ斜面の上にいる、ともに第1施設を脱走してきた自分のたったひとりの仲間に、囁き声で呼びかけて。)
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(/改稿前のロルを投稿してしまったため、再度投稿。こちらが訂正版となります。改めてこちらをご参考に。)
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