Dream 2018-04-22 17:28:49 |
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( 彼女は驚いたような顔をしてこちらを振り返った。そうして夜空のような目を一瞬真ん丸にして、すぐに無防備に破顔する。その笑みは決して媚びるような表情ではなくて、他の女生徒に感じる反吐の出るような不快さはちっとも抱かなかった。零れ落ちるような声色で名を呼ばれると、肩をすくめて白々しく微笑みを浮かべる。投げかけられた質問に対しては、しばらく宙を見て思案するようなそぶりを見せてから口を開いた。「まあね。人ごみというか、騒がしい場所はあまり得意じゃないんだけど」言い回しこそ穏やかに聞こえるよう努めたがその言葉は限りなく本心に近くて、それが躊躇いなく口をついて出たことになんだか慣れないような心地がする。誰も彼も見下して周囲を欺いてきた己にとって、本心を吐露することが稀である証明だった。 )
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