Dream 2018-04-22 17:28:49 |
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__あっ!私…、御免なさい。
(ゆるりと首を傾げて見せたのは、彼の肩に掛かる鞄の存在等に目をくれる余裕すらなかったから。問い掛かる其の声にぼんやりと熱を浮かばせ乍ら、頭の端で思考を循環させる。何時もより狭い思考回路では彼の言う忘れ物とやらには思い当たらず、困った様に眉尻を下げて視線を彷徨かせた。幾秒か、幾分か。己には分からぬ時間が気付けば過ぎて、椅子に腰掛けた瞬間のように余りにも滑らかに動く細く美しい指先に目を奪われた。優雅や上品と言った単語が良く似合う彼の指先の動きに誘われる侭に、気付けば釘付けの視線は鞄へと移っていた。そうして、思い出した。先の授業で不可思議に思った事と、それに囚われた侭授業が終わるや否や直ぐ様に図書室へと向かった事。
__だから彼が来たのか。漸く合点が行った様子で小さく頷く。彼は酷く人望が厚いから、先生もついつい頼ってしまうのだろう。斯く思う反面で、先輩である彼にこの様な雑務にも似た事をさせてしまった事へと罪悪感に苛まれては、余りにも恐る恐ると行った様子で謝罪の言葉を彼へと述べて)
次からは忘れ物がないかどうか、確りと確認しますね。…有難うございます、リドル先輩。
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