案内人 2018-04-10 23:55:42 |
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( 扉の先はなにも無い。踏み出した足からただひたすら真っ逆さまに落ちてゆくーー。空中にばら撒かれたトランプ、ピアノの鍵盤だけが波をうつように音を奏で、人の顔をした満月が高々と笑う。手の生えたトランプがラッパを鳴らしてーー。)
警告!警告!侵入者だーー!!捕まえろーー!!!
( ラッパ吹きがけたたましく号令をかけるとばら撒かれたトランプに次々と手足が生えて。懐に髪の毛に手足に手が伸びる、捕まったらどうなるのだろうか…いやそれ以前にこれだけの深さから落ちては命の保証は無いに等しい。無意識に目を瞑るそしてーー。何かに当たる衝撃、頬を切り脇腹ふくらはぎと息つく間もなく次々と痛みが走り、漸く止まった先はやや細長い木の枝。ーーがミシリと折れそこから派手に尻もちを。昼でも暗い森の中、地面は太い木の根っこが顔をだし切り株にはカラフルなキノコが生えている。どちらを向いても道はないあるのは命と懐中時計、不気味な場所に留まるよりは幾分もマシだろうと一歩踏み出した。)
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