隠れ吸血鬼 2018-03-16 19:58:38 |
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――ッや、づき……?
( 弾かれたような腕の痛みに、ハッと意識が我に返る。そちらを見遣れば、此処にいるはずのない恋人の姿があって、露骨な動揺に瞳が揺らぐ。数秒の間、思考が停止してしまい、その間に巧く矢附が誤魔化してくれたようで、きょとんとする新人を置き去りにする形で、矢附に引っ張られてゆく )
( 一言も話してくれずにずかずかと歩く矢附の後姿を眺めながら、ぐるぐると思考が堂々巡りする。――見られて、しまった。決定的な場面までは見られていないので、現段階では絆火が吸血鬼であるなんてことは、矢附は夢にも思っていないだろう。それでも、たちの悪い誤解を与えてしまったことには違いなく、むしろこちらのほうが厄介だ。どう釈明しようか、と悩んでいるうちに、2人の間の静寂は深くなってゆくばかりで。ともかく、あんなに間近で血の匂いを嗅いでしまったことにより、絆火は一種の興奮状態にあった。飢えた獣の前に、新鮮な血肉をちらつかせるのと同じ状況だ。もしも万が一、矢附が少しでも出血するようなことがあれば。今度こそ、自分を律せる自信がない。……だとすれば、絆火がとるべき行動は一つだった。ぴたりと、足を止める。慣性が働き、矢附に引っ張られそうになるが、ぐ、と足に力を込めてその場に留まって )
…………誤解させて、嫌な思いをさせてしまって済まない。少し、頭を冷やしたい。……ッは……、先に……、帰って、いてくれ……ッ、
( あの新人に、ビジネス以外の感情なんて1ミリも持ち合わせていないことを、眼光の強さで訴えるように、まっすぐに矢附の瞳を見つめて。神経が昂り、敏感になってしまった本能の琴線は、愛する者の鋼色の瞳を見つめるだけで、ドクンと鼓動を高鳴らせる。このままでは、見境なく矢附を襲ってしまうかもしれない。喉をかきむしりたくなる衝動をギリギリのところで堪えつつも、あまりの渇きから苦しげに喘ぐような吐息が言葉の合間に漏れて )
(/しっかりしてるのに弱いところもあるメンズなんて美味しすぎるし、依存なんて萌え対象でしかないので、むしろばんばんやっちゃってください。絆火こそ、自分勝手な振る舞いが目立つ部分もあると思うので、もし萎えポイントがあればお気軽に教えてください。それでは、今後ともよろしくお願いいたします……!)
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