隠れ吸血鬼 2018-03-16 19:58:38 |
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_…ぁ、…ああ、いってらっしゃい。
( 電話を終えた様子の彼に直ぐ様近寄ろうとして、次に吐かれた深い溜め息に何か合ったのだと察せば容易に声を掛けるのは憚られ、飛び上がってしまいそうなほど嬉しい彼からの賛辞にああ、君をよく見ているから。と些か安心できない言葉を返した。少し躊躇った後、彼の座るソファに向かおうとしたところで彼が黒いジャケットを羽織っているのを見れば首を傾げるも質問をする前に掛けられた言葉に、無意識として眉間に皺が寄ってしまったのは仕方がないだろう。余程急ぎなのかと此方を見もせず玄関に向かう彼を駄目だと理解しつつ引き留めようと伸ばした手。すると、それを逆に引き寄せられ、落とされたキスと、夢想にまで見た甘ったるい囁きに平静を保っていた瞳はどろり、と蕩けて。その言葉に酔いしれ呆然と意味の無い言葉を溢した後、酷く上気した赤く染まった顔で小さく手を振れば微笑みかけた。 )
__さて。彼を追い掛けねば。
( 暫く放心したようにその場にいたが、途端にすう、と据わって行く目はそのままリビングに戻ることはなく、然も当たり前かのように玄関に忍ばせておいた上着と取った。発せられた言葉は感情の一切籠らない声で誰に言うわけでもなし独白のように冷たく響く。急ならば仕方がないだろう。そう理解した。だが、私には彼の帰りを忠犬よろしく待つことはできない。せめて彼の道中の安全だけでも確保せねば帰れないのである。もしかしたら書類の受取人、とやらが彼に不埒に近づく可能性も無きにしもあらず、もし、彼が嫌な思いをして帰ってきたのならばそれを未然に阻止できなかった私は悔やんでも悔やみきれないからだ。 )
___よし、彼が気付くこと無いよう影で君を守るからな。
( 固く決意したそれは彼に恋をしたときから誓っていたもので。一定の距離を保ちながら歩いてすぐ、小さな公園へと足を踏み入れた彼を確認した後、手頃な草影に隠れた。 )
……え?
( 暫くはぺこりと何度も頭を下げられる彼の姿をひっそり眺めていた。相手は女性だ。それだけで少しずつ温度を無くして行く指先に、これは仕事だから。と言い聞かせた。そうしてなんとか平常心を保っていたところで、__突如目を疑うような光景が飛び込んできた。……違う、今のは女性から迫っていた訳ではなかった。彼自ら相手の手を取り__? )
__何をしているんだ、榊。
( そこまで来たらもうアウトだった。思考が追い付くより先に体が動く。行動は乱心する心と反して酷く落ち着いていた。自然な様子で公園へと足を進め、榊の行動を咎めるように女性の手を掴む相手の手を叩く。直ぐ様相手の女性に向き直ればにこり、とそれはもう彼にも見せたことが無いほどの最上級の笑顔に申し訳なさそうに目尻を下げれば、すみません、榊が失礼致しました。どうも彼は血が苦手らしく、少し動揺したみたいで。本当にすみません。微笑みは心あらず、優しげな声とは一変して心臓は底から冷えて行くばかりである。なぜ、なぜ、なぜ?うわべだけの取り繕いはものの数分として持たなかった。彼の腕を叩いた右手で今度は彼を掴むと、すみません。これ以上迷惑をお掛けするわけにはいかないので、発作が酷くなる前に失礼させて頂きます。笑顔は終止穏やかであったが背中に隠した左手は血が滲んでしまいそうなほどきつく握り締められた拳。彼を傷付けないための唯一の怒りの逃がし方。押さえきれなくなってしまう前にとそのまま女性の返答も待たずに公園を後にすれば、一言も発さずに彼の手を引くばかりで。 )
( / こちらこそ、榊君の思わず抱き締めたくなる可愛さに毎度毎度持っていかれそうです…!
早速場面を投下しましたが、歪んだ愛情に榊君共々背後様が引いておられていないかとても心配です…。シリアスに持っていかれる様でしたら矢附の弱さや依存性。女々しさ等が垣間見えてくると思いますので、何か地雷があれば言ってくださいね。
気を遣ってくださり有り難う御座います…!今のところ欠点どころか美点しか見つからないので問題ありません…!では、お言葉に甘えさせてシチュは思い付き次第投げさせて頂きますので、貴方様も何かあれば声を掛けてくださればと! )
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