隠れ吸血鬼 2018-03-16 19:58:38 |
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……だーかーら。
( どこまでも優しく、自分のことではなく絆火のことを優先して気遣ってくれる矢附の愛情に、胸が締め付けられる。その痛みは、隠し事をしている罪悪感からくるのか、はたまた痛烈なほどの愛おしさなのか、判別がつかなかった。少し張り詰めてしまった空気を変えようと、語気を強めて )
ば、ん、び。いい加減慣れろよ、苗字呼びは距離感じて寂しいっつの
( 口調を荒げたからといって、怒っているわけではないということを伝えるために、まっすぐに矢附の顔を見つめてにやりと微笑んで見せる。こんな風に好き勝手振舞えるのも、矢附の包容力があってこそだ。それに内心感謝しつつ、気恥ずかしいので言葉には出さないでおくが )
あー……喉渇いた。何か飲みてえな、例えば……矢附が淹れた紅茶とか
( 喉が渇いているのは、矢附と出会って恋に落ちてからずっとのことだ。吸血鬼たる自分の渇きは、飲み物などで潤わすことができるものではない。矢附に隠れて、その辺の適当な人間の血を吸ってしまおうかと考えることも多々あるが、今のところは思い留まれている。その理性を保つためにも、絆火は矢附に甘えて )
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