赤の女王 2018-03-10 15:26:43 |
通報 |
>公爵夫人
占いとは、そういうものだと本で見た。だが、… その、期待を持たせることこそが占いの本質だと俺は思う。
( 人の未来などぴたりと言い当てる方が可笑しいのだ。其れならば預言者を語った方が仕事になるに違いない。お告げが当たったならば万々歳、当たらなくとも当人に期待を持たせられるのであれば占いをして見せた意義があるのだと。なんて事は全て占い師でも無い己の予想の延長戦でしかなかったのたが。ぴたりと言い当てられた核心に思わず口を噤むと、その認識も改めさせられる。彼の言う特別が無口のことかその原因か考えあぐねては無言で視線を落とし。脳内を弄られた様な不快感とは違う靄が渦巻いては言い返すことが出来ずにいた処、再び頭をかき混ぜられたことで驚きが勝り亦目を丸くした。彼は人の頭を撫でることが好きなのだろうか。付属された脅しの言葉もその行為の前では忠告に姿を変えて。緊急時の対応まで教えられては最早恐ろしさなど露に消え、" 肝に銘じておく、" と頷くのも容易で。「 ああ、誰に話しかけることも出来なければそうするよ。……、それはどういう意味だ?夜になると体が動かなくなったりするのか、 」 部屋に入りながら意地の悪い発言も真剣に受け取り頷いたものの、夜の活動ができないと言われては首を傾げて問うた。直ぐに想像できたのは身体的な柵であり、「 それとも、夜が嫌いなのか、 」次に出てきたのは心理的な柵であり。 )
>帽子屋さん
――― でも、何だかとっても意外。そんな風には全然見えないのに。
( 一つずつ手に取っては手の平に取って色を確かめる作業。普段は単調なそれだというのに、物珍しい形のラメや見たことの無いグラデーションを織りなす化粧品が相手となれば玩具を試す子供の様にわくわくする。実際子供の様に目を輝かせているのは鏡の中の自分越しに分かるのだが其れはさておき、既に軽く整えてきたメイクの上に重ねるようにして新たな色を乗せていく。其の最中、先ほど聞いた幾つかの事実をぶり返すとそれを上手く呑み込めないことを告げ。実はオジさんを自称する年齢だったこと、手先の器用さは裁縫のみに活かされていること。冗談だったと言われた方が信じてしまいそうなほど見掛けによらない点に手を止めては、「 帽子屋さんが余りにも綺麗だったから、絶対そうなんだって偏見を持っちゃったのかも、 」 なんて小さな笑いと共に独り言ち。瞼を彩るのは星の形をした細やかなラメとダークグレーのアイシャドウ。目尻できゅっとアイラインを跳ね上げれば、幼く見える垂れ目も妖しく吊り上がり。左目のラインの終着点はくるりと括ってハート型に。ビューラーで上を向いた睫毛にも今日だけはワインレッドのマスカラで色を乗せた。仕上げに赤いマットの口紅を纏わせれば、_____ 蝙蝠の完成。鏡を睨めっこして最終確認するまでもなく、思ったよりも上手に出来たメイクに満足の笑みを携えていると丁度のタイミングで御呼ばれが。期待していたものが出来たと成れば満足に浸っている場合ではなく、本当に手早く終えてしまった相手に内心驚愕しつつも呼ばれる侭に後ろを振り返り。「 ―――、… イメージぴったり、」 そうして見えたトルソーが着ている服に一目散に目を奪われると、先ずは口元を抑えてそのまま見惚れて。綺麗、可愛い、それだけじゃ足りない。素晴らしすぎて敵わないとは正にこのことで。ぽつりと零れた感想が堰を切ると、「 今度、ちゃんとお金払う、ね?これはクッキーと交換だけじゃ駄目な気がする。ううん、絶対駄目。売り物だったとしても一目ぼれして買っちゃうくらい、… 可愛くて、美しくて、素敵だもん 」 ぼろぼろ零れだした感想は止まることを知らず。漸く一言飲み込んだかと思えば、ふ、と余りの嬉しさに綻んだ顔でトルソーの纏う服を見つめて。髪を弄る時間も忘れ、ただうっとりとした眼差しを向け続け。 )
( / ネイサンが人付き合いの上手でない性格なためにご迷惑をおかけしているかもと思っていたのですが、お優しいお言葉をいただけて心底ホッとしております…!主様の好みであったことも嬉しく思います。公爵夫人さんにまさか不満などあるはずもなく……!素敵すぎて画面の前でにこにこしながらお話させていただいております!ご連絡だけは必ず差し上げますので、どうかお時間の許すまでお話させていただければと思います。それでは、背後は失礼いたしますね…! )
トピック検索 |