赤の女王 2018-03-10 15:26:43 |
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>公爵夫人
ッ、何を、 …… !
( 人らしからぬとは己から見れば褒めたつもりだった。世界から離れているような存在だと、好い意味で使ったつもりだった。勿論言葉足らずだったことは理解していたのだが、――― 言葉の一つも挟むことは許さない、然し乍ら返事を捲し立てる様な、激高にも近い饒舌を巧みに操りながら近寄って来られる程に駄目な言葉だったのだろうか。唯一溢せたのは最早独り言とも区別のつかない情けない声、それをも飲み込む激しい返答が目と鼻の先で繰り広げられては締めの言葉を拾うのがやっとのことで。漸く一段落した、かと思えば徐に心底楽し気に笑い出した其の人が再び紡ぎ始めたのは、余りにも理解しがたい世迷言の類。だが事実だと第六感で捉える程には現実味を帯びた、ともすれば真実のみを連ねているのかも知れない世迷言。伝達者が伝達者なだけに怪訝な表情の己を置いたまま、周囲を巡る足音の主は話を進めるが ―――― 分からない。否、国の状況と選別の趣旨こそ理解は出来たが、頷き飲み込むには不明瞭な部分が多すぎるのだ。まるで無差別なテロにも思しき選別と、それを謎掛けのように告げられては戸惑いが増幅するばかり。「 …… 、なら、俺じゃなくてもいい、はずだ。、アリスになりたい奴なんて 、女王に相応しいのなんて … 探せば他にいるだろう 」 性分為れば、考えを整理するよりも前に抱いた自分本位な感想を其の中で先ず。からんころんと鳴る珍しい靴の音が思考の邪魔で、止められる程の強さで細い腕をつかみ正面で堰き止めては見下ろす形で視線をかち合わせると、「 此処にいるのが俺である理由が、… 必要性が、何かあるのだろうか? 」 ぽつりと率直な疑問を落とし。そう、結局は其処を明らかにしたいだけなのだ。 )
>帽子屋さん
( お祭り騒ぎに感化された浮ついた設問への返事としてはばっちりな答えにくす、と笑みを溢す。答えの中に混じっていたコンセプトの名が示す通り近寄りがたい人なのかと思ったのは大間違いだったみたいで。一先ず初対面ならではの不安は杞憂に終わりそうだ、とホッと安堵したも束の間、初めましての冠を被りながら一字も違わずに呼ばれた名前に目を瞬かせた。まさかこの国で初対面ながら名前を呼ばれるなんてことが起こり得るとは考えておらず、「 は、じめまして 、帽子屋さん 」とやや呆気に取られながらも挨拶を返せたのは一重に会話慣れのお陰か。 「 青い方、? … それって、若しかしてダムさん? 」 抜けた明るい笑いに気を取られながらも相手が示したのは一体誰かと一度はきょとんとして見せた。けれど此の国唯一の双子、その片方を指示していると理解が及べば自ずと色の謎も解け。後に続いた" 赤いの " とまで出てきては言い得て妙な渾名の様な呼び名に思わず ふふっ、ふふふ と少しの間笑いが堪えきれずに。「 そう、今日は一人なの。赤い彼には内緒で衣装を決めたくて! 前もってお披露目しない方が、出会ったとき新鮮でいーでしょ、? 」 乱れた息を整えるべく深呼吸を一つしたのち、良く言えば強かな思惑を数度の頷きと共に。「 でね、さっきの話の続き。既に首輪が付いてるから飼い猫には成れないんだけど 、お代は後払いの現品でもだいじょーぶ ?うーんっと美味しいクッキーを後で焼いてくる予定なんだぁ、 」次いで切り出したのはお代の話。悪戯を受けられない、免除も出来ないは都合が良すぎると考えた末に落ち着いたのは後払いで。後払いの現品は良く想われない事の方が多いがハロウィンの名に免じて甘んじてはくれないかと、 )
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