匿名さん 2018-03-09 02:12:00 |
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( 明確な数値は定かではないが、此の異郷の地で目を覚ましてから三十分が経過しようとしていた。記憶が少しばかり混濁しているものの、つい数刻前迄美しい大海原を渡り、然し不幸にも嵐に見舞われたのは記憶に新しい。意識が途切れる寸前に見た光景は深く青い海底だった筈なのに、今自身の双眸が映すのは一度も目視した事がない植物や建物達。澄み切った蒼穹には夥しい量の奇怪な鳥がけたたましく鳴き声を響かせ、心做しか此方に向けて発声している様にも思える。全く濡れていない衣服に髪、加えて自身を囲う森林と思しき場所、全てが奇妙さを構成している。視覚情報が些か少なく、この場を打開するには散策する必要があるだろうと逸る心臓に言い聞かせ、僅かな不安を抱きながらも裸足で地を踏みしめ。──其処でふと異様な気配を背後に感じる。咄嗟に後方へ振り向くと矢張り図鑑には載っていないであろう新種の猛獣が今にも襲いかろうとばかりに跳躍し、防衛本能の表れか無意識的に甲高い悲鳴を辺り一体に谺させ。死を覚悟した刹那、襲って来る筈の痛みや衝撃は何時まで経ってもやって来ず、恐る恐る瞳を開けると眼前には先程までいなかった一体の別の猛獣が徐に此方を振り返り。九死に一生を得て呆然としている上、様々な動物の肢体や要素を備えたまるで伝説上の生物の如き相手の見目に驚きを隠し切れず、言葉は通じないと理解していながら反射的に単純過ぎる問いを投げ掛け。 )
───…貴方は、なに…?
( /いえ、全然構いません…!寧ろ誘導して下さってとてもやり易かったです、有難う御座います!此方も何か絡み辛い、やり辛い等ありましたら遠慮せず仰って下さい。はい、此方こそ宜しくお願い致します…! )
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