ななしのあるじ 2018-03-02 08:10:39 |
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(腕時計の盤面に示される時刻は午後3時。少し遅い昼食をとる為に入ったカフェでホットドッグとブレンドコーヒーを注文して、窓際の席に陣取ってから半刻ばかり経っただろうか。テーブルに頬杖をついてホットドッグの最後の一口を咀嚼しながら、店内に流れる陽気なBGMに耳を傾ける。BAY CITY ROLLERSの“SATURDAY NIGHT”。確か妹がレコードを持っていたっけ。どうでもいいけど今日は金曜だ。
幼い頃から憧れていた警察官。一年前晴れて採用試験に合格し、言い渡された配属先はニューヨーク・ブルックリン。誇張表現でも何でもなく、この街は戦場だ。ここ十年程の大不況で貧困層が拡大して、かつて経済の中心地としてあれほど栄えていたニューヨークは、今や凶悪犯罪が蔓延る治安全米最悪の街に変わり果ててしまった。そんな危険な街で多くの市民を守るこの仕事はすごく誇らしいし、どんなに辛くともこれまでやって来れた。そう、仕事自体はどうにか続けられている。実際はいつも失敗だらけで、上官に叱られてばかりの毎日だ。今朝も一人、あと少しのところで強盗犯を逃がしてしまった。結局犯人は応援に駆けつけてくれた先輩警官が取り押さえてくれたけれど、自分では何も出来なかったのが不甲斐なくて、だからこうやってランチついでに目一杯しょぼくれているのだ。
今回に限ったことではない。ナンバープレートが無い車両の運転手に声をかければ返ってくる言葉は八割以上が「盗まれた」…どうやらニューヨークには悪質なナンバープレート・コレクターが居るらしい。そこで調書を取ると言えば急いでいるとか何だとかって怒鳴りながら走り去ってしまう。タギングに夢中の少年たちに注意すれば顔にスプレーペンキを吹きかけられる始末。明らかにナメられているのは威厳が足りないからだろうか。そりゃあ自分はまだ着任一年目の新米警官かもしれないが、それでも市民を護りたい気持ちは誰にも負けないつもりだし、拳銃だって一人前に扱える。──どうしたって実績ばかりが追いつかないのだ。)
──…俺には向いてないのかな…。
(浅い溜息の後を追って無意識に零れた一言は、本当はずっと長いこと頭の隅にあって、それでも頑なに目を向けないようにしてきた言葉だった。NYPDの青い制服も、自分にはまるで似合っていないような気がしてくる。いつの間にか店内のBGMはAmericaの“A horse with no name”に切り替わっていた。学生時代の恋人が愛していた曲。あの頃は単調なビートとメロディが物足りなく感じていたけれど、それも今まさに胸に沁みるようだよ、なあオリヴィア。──彼女が結婚したことを人づてに聞いたのは三か月前のことだ。
フロートガラスの向こうには往来を行き交う人々。高級ブティックの紙袋を両腕に引っ提げた高いピンヒールの婦人、新聞の束を荷台に乗せて自転車を走らせる子供、“PLEASE HELP”の文字が書かれたダンボールを抱える痩せた青年。冷めたコーヒーを一口啜る。この曇天の街に等しく希望の光が齎されるのが、そう遠くない未来であればいい。)
(/スペース失礼致します。とにかく何も考えず心情描写がっつりの小説風ロルが回したい…!と欲望のままに作文したものです。1980年代、治安が最悪だった頃のニューヨーク州ブルックリン区で、真面目だけが取り柄な新米警官が仕事はうまくいかないやら昔の彼女に未練はあるわでベコベコにヘコんでいるところです。レスを頂ける可能性がほんの僅かでもあれば…とささやかな期待を込めて簡単なPC情報を下記に置いておきますね。もし絡んで頂ける場合、其方PC様はNY市民の方でもそうでなくても、先輩警官や元カノでも何でもOKです。お目汚し失礼致しました…!
◇PC情報……男/20代前半/米国人/金髪翠眼/身長185cm程)
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