「 帰してあげたいけど、ね 」
──事の起こりはある城に飾られた一枚の絵画。
「貴族の晩餐会」と名付けられた絵画は何百年も昔、無名の絵師が描いた畳一枚分程の油絵で。何の変哲もないその絵によって齎されるのは幸か不幸か。
[あらすじ]
海外旅行で訪れたとある城。人気のある観光地であるが故に随分と人が多く賑やかな印象を受ける。そんな人が行き交う場所とは裏腹に、重たく閉ざされた黒塗りの扉の先は先程の喧騒が嘘と見紛う程に閑散とした一室で。その哀愁漂う部屋に飾られた一枚の絵画。
──これが事の始まりとは露知らず、魅せられた観光客はその人生を狂わせることとなる。
おててはおひざ、おくちはちゃっく。