匿名書生 2018-01-24 19:13:27 |
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(/ありがとうございます!素敵なロルで読んでいてとても想像しやすいです。こちらのロルで何かありましたら遠慮なくおっしゃってください。)
( 机には書きかけの原稿と落書きが散見されるノート、香炉が並び、大谷は気怠そうに梅花の香りの香が細い煙を燻らせるのを頬杖をついて眺めていた。そばにはマッチが転がり、硫黄と染料の燃える独特の香りがまだ残っている。その香はいつだったか女が置いていったものだった。大谷が香が好きだと言うので女が贈ったものだ。もっとも今となってはその女の顔も素性も靄がかかったように思い出せないのだが。しかし彼女の白い肌から花の香りがしたのは覚えている。今は誰もいないこの家の広さと心を覆い尽くす虚無感と希死念慮が苦痛であると同時に耐え難い程に必要だった。
その時どこからか若い男の声がして気怠い憂鬱の海から現実へ引き戻されて。少々驚いて玄関へ向かえば、そこにいたのは心許なさげに佇む見慣れぬ青年であった。)
ああ…君が。いかにも、僕が大谷です。
( ゆっくりとした調子で名を名乗る。春日清二郎という名は記憶に新しかった。彼が鮮やかな群青を思わせるような
文章を書くことを、大谷は既に知っていた。所謂ファンレタアには返事を書かないが、 彼にはつい返事を出してしまった。)
よく来ましたね。さあ、お入りなさい。寒かっただろう。近頃は本当に冷えるんだ。
( 居間へ案内すると座るように示して、お茶を手際よく用意すると彼と自分の前へ一つずつ置き自分も腰掛けて。)
君が本当に来てくれるとは思わなかった。返事を受け取れば幻滅するだろうと思ったからね。手紙には小説よりずっと人となりが滲んでしまうから、だから僕は普段は返事を書かないんです。
でも君には返事をした。何故だか分かるか?
( 言葉を切るとじっと彼を見つめる。珍しく、心からの本音で話せていた。こんな気分になるのはいつ以来だろうか。 )
君の書く文字と文章が好きだったからだよ。…君に興味が湧いたんだ。
僕に教えてくれないかな。どうして僕の酔狂な書き物を読もうと思って、しかも手紙を書く気になったんだい?
( 春日と名乗る青年の病的に白く滲むように光って見える肌は不健全さと健全さの入り混じる様子を表すようで、ついじっと見つめてしまう吸引力を持っていた。手に握るガーゼや不自然に白い肌が何を表すのか、知ってはならないような気がして目をそらすと少し微笑んで彼に問いかけて。 )
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