西洋妖怪主食野郎 2018-01-01 18:41:39 |
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(/はい!気になった点があった時は質問させていただきます!私の背後も一旦下がります!)
(インターフォンでのやりとりの後、気長に待とうと身構えていたが、1分も経たない内にインターフォンの声の主である使用人が玄関トビラから慌てた様子で出てきては、若干駆け足で私の方に寄ってきて少し走り疲れたのか息を切らせながら"お待たせしました!私がご案内いたします"と案内を申し出てきた。
私は使用人に案内されるまま玄関門をくぐれば、植えられている木がハート型を整えられた緑のオブジェに綺麗に切り揃えられてカーペットのようになっている芝生に目がいく。
おそらく、庭師が住み込みで手入れをしているのだろう。
無駄な所でご熱心に力を入れる豪邸の主に呆れつつも歩みを進めていけば、いつの間にか玄関口にたどり着き、先導している使用人が大きな玄関トビラを開けて中に入るように催促する。
高級住宅街の一等地にそびえ立つ豪邸の玄関に一歩足を踏み出せば、家の中で漂う凍てつくような空気に身を晒されて思わず体を震わせてしまう。
この冷たい空気は冬の季節におとずれる寒波と関係など全くなく、この家に住む両親と子供の愛など存在しない冷めきった関係によってこの家の空気までが冷たく凍ってしまっているのだ。
明るい太陽のように輝き部屋を照らすLEDライトがついているのにも関わらず、とても薄暗い廊下を案内している使用人についていくように歩き、リビングへと通される。
ただ、この家の無駄に広くて豪華なだけが取り柄であるリビング全体を見渡せば、玄関や廊下と同じように冷えた空気が漂うばかりで普通の家庭にあるはずの温かみなど微塵も感じられず、職人が魂を込めて作られた美しい家具たちも悲しみの表情を浮かべ佇んでいる様子を見て、嫌な気持ちがどんどん湧いてきて私の心を支配する。
とてもじゃないがこんな人が住めなさそうな家に長居なんかしたくない。
とっとと要件を済ませたら一刻でも早くこの家から出てしまおう。)
フフッ、やっと会えた…私の愛しい子…(廊下を歩いている時に薄々気づいてはいたのだが、誰かが私の後をついてきているようだ。
最初は特に気にも留めずに使用人に案内されていたが、後をつけている人物との距離が短くなると同時になにか訴えるような思いが大きくなっていき、リビングまでたどり着く頃にはまるで苦しい…苦しい…とひどく傷つきボロボロになりながらも何かにすがるように助けを求める声が聞こえるような感じがする。
後をつけている人物が誰なのか理解できた。
それはずっと探し求めていた愛しい…とても愛しい子だ。
待ちに待ったこの瞬間に私は胸を踊らせてしまい、つい頬をゆるませて本音がポロリと出てしまい独り言を呟く。
本当はこちらから話をしたいのだが、警戒させてしまうのでは考え、向こうから話し掛けてくるまで待つことにし)
うーん、今はお客さんだけど、もしかしたら、君と長い付き合いになる人だと思ってくれていいよ。
……ああ、紹介が遅れたね!私の名前は住友 隆義、ここの家に用事があって来たんだ(話し掛けられるまで気づかないふりを続けていれば、愛しい子が自分に警戒心を抱かずに周りに聞こえないくらいの小さな声で私が何者なのかを尋ね。
私は客であることは認めつつもそれだけではないと答えるが怖がらせないよう今は正体が悪魔という事実を伏せてあやふやに答える。
今更ながら自己紹介していない事を思い出し、そのことに恥ずかしくなりながらも自分の名前を名乗り、優しい笑顔を愛しい子に向ける。
ふと愛しい子の全身に目を移せば、可愛らしい顔立ちをした彼女のいたる所にガーゼが貼られ、包帯も巻かれているのに気づき、なんて酷い事をするんてと私ははらわたが煮えくり返るような思いに刈られ、痛々しい姿をした彼女なぜこいつらは平気な顔で無視しているんだ?と自分の抑えられない怒りをぶつけるかのようにリビングまで案内した使用人を鋭い目付きで睨め付ける。
にらめつけれた使用人は恐れをなすような表情を浮かべた後、"ちょ…ちょっとご主人様をお呼びいたします"と言い訳がましい事をいい放ち、逃げるように部屋を後にする。
この光景に少し昔、鋼鉄の人と呼ばれ貧しい家柄から大国のトップまで登り詰めた愛しい子の事を思い出し、恐怖に怯え強い者に媚びる事に必死な小判鮫のとりまきと逃げ出した使用人の姿を合わせれば何かやるせない思いになり、使用人が出ていった扉に視線を向けて大きくため息を溢してしまう。
リビングの扉から目の前の傷だらけの少女に視線を移し、私は目に涙を浮かべて愛しい子をいたわるように言葉を掛ける。
廊下から家の主が"彼が来るのなら俺にすぐ報告しろと言っただろ!この間抜け!"と私がアポなしで訪れたので把握しようがない使用人に主の理不尽な怒りをぶつけ、怒鳴り散らす声が聞こえるが、今は愛しい子の事が心配でしかたがない、大声を挙げて怒鳴り散らし者など二の次だ)……いままで殴られて痛かったよね?…とても辛かったよね?……ごめんね、私がもっと早く気付けば君がここまでボロボロにならずに済んだのに……
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