ユビキリ 2017-12-19 18:44:06 |
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(望んだのは与えられた事の無い甘みと酸味が満ち満ちに詰まった果実、上下の歯を使いぷちっと薄皮を剥ぐ瞬間をもう一度と。溢れん果汁の瑞々しさを浅ましく強請った筈だった。差し出されたのは期待の其れでは無く、同様の色を持つ液体で。毒では無いことを証明するかのように目の前の彼が先に口を付け、血の様にこっくりとした赤紫を喉へ落とすのをボウとした虚ろ眼で見つめてから、囁かれるその言葉にそれが酔いの元と言っても過言じゃない頭の茹だる感覚を抱き。堪らずにごくり、と喉を鳴らし生唾を呑みこんでから押し付けられた手の内にある杯を口元へ運び。鈍間過ぎる動きでトロトロと時間をかけ唇へ運べば飲み方とは猿まね宜しくに今し方の彼が行った動作を繰り返すばかり、ぐっと煽る様に傾けた杯の中身を喉へ落とす前に歯を立て意味が分からずとも液体を噛み切る様に時折はしたなくピチャピチャと音を口内で立ててからゴクリと飲み込んで。単純に味だけで言うならば寝起きに与えられた果実の方が口に合う、が、甘いのが好きだろとこの液体が己の口に合っている事を望む言葉に否定の意は無い。先ほどと同様にぐにぐにとした舌を伸ばして突出し「あまいろふき」頬を撫でるその手の熱が何よりも安堵の思いを与えてくれる、突き出した舌では呂律が回らない喋り口で今し方飲み干した葡萄の酒が好きだと告げて)
(/昨年は素敵なご縁を紡ぐことが出来ましたこと有難うございます・・!拙い文章ではありますが、どうぞ本年も宜しくお願い致します。季節は10月頃で大丈夫です…!)
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