とある。 2017-12-10 18:10:40 |
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『たった三日間のはなし。1』
刀剣乱舞 燭台切光忠×大倶利伽羅
……大倶利伽羅が修行に行く話。
_ _ _
目を覚ますと何時もと変わらない暖かく眩しい陽射しと鳥の囀りが聴こえてくる。そして少し距離を置いた先、寝息を立てて寝ている大倶利伽羅の姿が____なかった。
何時もなら僕が食事の支度をする為に目を覚ます頃、不機嫌そうな顔をしながら寝ているはず。そんな彼の姿は部屋を見渡してもなかった。
(……目が覚めちゃって、散歩でもしてるのかな?)
彼を探すのに辺りを歩き回って見たものの何処にもいない。心配になった僕は主の元へ行った。
「___はあ…」
鍋に貯められた水に、何とも格好付かない自分の顔がぼんやり映り込む。
大倶利伽羅の行方を主に聞いたところ、どうやら彼は皆が寝静まった夜、修行に出ていったらしい。
彼から修行に出るという報告は一切なかったし、それらしい行動もなかった。確かに僕達は仲間であるが、わざわざその様な事を報告し合う必要はないのかも知れない。だが____ショックだった。
彼は馴れ合いを嫌っているから、話し掛けてきたりする事はあまり無かった。けど、元々同じ主の元にいた事もあるし、なんだかんだ一番一緒に行動する事が多い。それ故、信頼されている自信があった。
でも、言ってくれなかった。
(……僕の思い上がりって、ことかな)
大きく溜息を吐くと、急に視界が暗くなった。
「え、なに……っ?!」
「だーれだ!」
背後から聞こえてきたのは不自然に高く変えられた声。こんな事をしてくる人物は一人しか思い浮かばない。
「鶴さんでしょ」
「正解!っはは、驚いたか?」
覆いかぶさっていた手が離れぱっと視界が明るくなる。ちらりと振り返れば楽しげに笑みを浮かべる鶴丸国永の姿。
「今日は早いね」
「何言ってんだ。俺が起きたのは何時も通りだぜ」
「……ああ、そっか。僕が少し作り始めるのが遅かったからか」
本丸中歩き回っていたおかげで食事を作り始めるのが遅くなってしまった。そりゃ彼が起きてくるのも当たり前だ。
「伽羅ちゃんが修行に出たこと、鶴さんは知ってた?」
「いや、俺もさっき主に聞いたばかりだ」
「そっか……」
少しだけ安心した。
自分ではない他の誰かに言っていて、自分には言ってくれなかったのであればどうしようかと不安だった。
___いや、違う。
安心した理由は、それだけではない。他に何か……。
「伽羅の事が心配かい?」
不意に、鶴丸とは違う声の問い掛けに我に返る。横をぱっと見ると太鼓鐘貞宗が食卓用に準備した胡瓜をつまんでいる姿が目に入った。
「貞ちゃん」
「まあ気持ちはわかるぜみっちゃん。でも、そんな暗い顔してたら、折角の美味しい料理も不味くなっちまう」
「貞坊の言う通りだぜ。信じてやるのが仲間ってやつさ」
ぽんぽんと鶴丸の手が頭を撫でる。
二人の言う通りだ。そんな事を考えている暇があったら、彼なら大丈夫と信じるべきだ。
「ありがとう鶴さん、貞ちゃん。さて!皆を待たせてるし、急いで作ろうか!」
この時僕は、安心したもう一つの理由の名を知らなかった。
_ _ _
下に行くにつれて漢字が減るスタイル。
何を書きたかったのか、僕は知らなかった。←
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