2017-11-11 22:06:57 |
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(傷口に消毒液が触れる度、まるで獣ような呻き声が零れてしまう。しかも依然として肋骨の痛みは引かず、加えて声を出すと苦痛が増すような状態でもあるのでどうにも気分が楽にはならない。声が出ないように一応意識はするものの、実際はそう上手く行かない物である。もう何もかもを忘れて眠ってしまいたいと思うものだが、刹那の痛みが脳を叩き起こしてしまうのでそういう訳にもいかない。気が付けば、いつの間にか体が汗ばんでいて火照っていた。痛みが原因で発熱したのだろう、視界がぼやけるのもそれが理由か、などと冷静に考える。そしてふと目に入った人影に視線を移す。影の動きは忙しく、使い物にならない両目では目を細めても顔を正確に把握できない。ただ黒い影が色々なことをしているな、ぐらいの認識しか叶わない。何を思う訳でも無いが、ただぼんやりと蕩けたような瞳で黒影を追いかけて)
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