2017-11-11 22:06:57 |
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(医者。その単語が一瞬脳で響き、消え去っていく。裏稼業を営む身としては、この手の人間と接触するのは極力避けるべきだ。というのも自分の所在等が外部に漏れる危険性がある為である。しかしこの使い物にならない脳ではその考えが浮かばず、素直に頷くことしか出来ない。彼女に出来る限り体重を掛けないよう、意識して前に進んでいると、霞む脳裏に届いた少女の声と表情に一瞬思考を奪われた。彼女は自分の安否を想ってくれて、自分に情を掛けている。そして同時にこんな風に彼女を硬い顔にさせたのは誰でもない自分だという複雑な事実が己に攻め込んできた。長い間遠ざかっていた感情の処理に困惑し、無意識に眉根を寄せ、目を伏せると、低く濁った小さな声が漏れ)
…ほんとに俺って、情けねーな……。
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