どんなに詳しい日本地図にも載らない小さな集落──出雲邑(イズモムラ)。
其所は嘗て素戔嗚尊(スサノオノミコト)が八岐大蛇(ヤマタノオロチ)を退治し、脚摩乳(アシナヅチ)と手摩乳(テナヅチ)の娘である奇稲田姫(クシイナダヒメ)を妻に迎えた村でもあった。
時は数十年、数百年経った今でも素戔嗚尊は邑の英雄として荘厳な神殿の中に祀られている。
そんなある日、同日同時刻に八人の男女がこの世に生を受けた。日に日に育つ赤子は蛇の目を持ち、身体の一部には青白い鱗が生えていた。邑の長は八岐大蛇の祟りだと恐れ、森の奥深くに聳える大木の元に子供達を連れて行く事に。
これは大木の元に連れられた八人の子供達と、大木の近くに住む妖のお話。
合図がある迄お静かに。