絢羅 2017-10-14 23:53:22 ID:145fec2df |
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( ※稚拙な英単語多発 )
「 Hi. Chat noir. 」
江戸川コナンとの出逢いから数日。目覚ましとなったのは艶のある女性の声音だった。携帯の初期着信音が耳に届き、宛名も見ずに出てしまったのが運の尽きだったらしい。
『 何です??──vermouth. 』
不機嫌さを顕にして問えば、声高らかに笑われる。ベルモットとは比較的長い付き合いである。黒の組織を知り、情報屋として動く様になってからコンタクトを取ってきたのがこのベルモットであった。
ベルモットは此方の情報を知らない。知っていたとしても“ 仕事用の声 ”くらいだろう。
「 あら、随分機嫌が悪いわね?? 」
クス、と電話口で吐息の様な笑みを零される。解ってるなら態々聞かないで欲しい。コッチは徹夜である組織の情報を掻き集め、先程眠ったばかりなのだから。ガリガリと頭を掻いてベッドの上に胡座をかく。
『 要件。無いなら切りますけど。 』
ふん、と鼻で笑って催促すれば“ 釣れないわね ”とのお言葉を貰った。一見、険悪な遣り取りに見えるかもしれないが、ベルモットと私の間柄故に叩ける軽口である。友人以下知人以上、それが私達の奇妙な関係だ。
「 例の組織についての情報を送ってくれるかしら。ジンが早くしろって五月蝿いのよ。 」
はぁ、と溜息混じりに呟かれた言葉に嗚呼…と返す。
ジン───長い銀髪にグリ-ンの四白眼。性格は冷酷で気が短い。獲物はベレッタM1934でポルシェ365Aに乗っている長身の男だ。組織の中でも指折りの実力者である。
1年程前にそのジンと遣り取りをした事もあるが、大変短気でいらっしゃった。取引の為にとホログラムを倉庫の壁に投影し、其所に遠隔で自分の声を充てたのだが。少しばかり弄った所即座に獲物を抜かれてしまった。──まぁ、交渉は決裂という事で情報をコピ-したUSBメモリは壊させて貰ったが。
『 電話を切ったら携帯に送ります。 』
欠伸を噛み殺しながらそう伝え、一方的に電話を切る。この携帯は細工をしている為電波を辿って居場所を特定される事も無い。ベルモットは大抵長電話になる為、こうでもしなければ2時間は愚痴に付き合わされるのだ。それだけ信用しているのかもしれないが、徹夜明けの頭には勘弁して欲しい事案である。
簡単な操作でベルモットの持つ端末へ情報を送り、御礼のメ-ルが来た所で携帯の電源を落とす。必要な情報は全て送ったし、連絡が来ることは無いだろう。来ても気紛れ黒猫が応じるかは別の話である。
携帯をサイドテ-ブルに置き、ベッドへと寝転がる。後3時間は何事もありません様に、そう願って。
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