とある政府役人 2017-10-02 00:09:17 |
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>御手杵
( 多分自覚もないのだろう。笑顔と共に手向けられた歓迎の言葉を、男は表情一つ変えずに受け流した。悪びれる様子はちっともない。もし事前に彼の特異性について聞いていなければ気分を悪くしていたかもしれないが、ああ、無視をしたという自覚もないのだろうなとすとんと納得した。短刀や、御手杵と親しかった者たちは顔を凍り付かせている。無理もない―――悪意のない無関心は、悪意のあるそれよりずっと胸に来るものがあった。主も驚き覚束ない視線で御手杵を見ている。……いや、正確にはこの御手杵ではなく、この御手杵を通して、彼女の良く知る別の御手杵を見ているような気がした。出陣等は追って決定致します、本丸の案内は蜻蛉切が。瞳の中で色濃い動揺を躍らせて、主はぽつりとそう告げる。ぐらぐらと落ち着きなく揺らめく彼女の黒い瞳孔は、とても見てはいられない程痛ましかった。「蔵に籠る必要はない。どれ、早速案内してやろう。疲れているなら明日にでも構わんが」主の助け舟になればと思いそう付け加える―――上手く笑えているかはわからないけれど。察しの良い初期刀が、主は仕事の続きがあるからと言って彼女をここから連れ出した。それをきっかけにちらほらと刀どもも自分の私室へ戻っていく。口の中、舌の上で持て余している言いたいことを、言っていいものかどうかという顔をして未だ立ち去らずにいる者もいたが、きっとこの様子では何を言っても期待しているような返事はもらえないだろう。この男は御手杵であって御手杵でないのだ。つまるところ、我らの知っている刀ではないということ。目元に皺を刻み、綺麗に生え揃った白い歯をのぞかせて笑うかつていた男の笑顔を自分は好ましく思っていた。けれどこの御手杵がそういう笑い方をしないだろうということは痛い程わかりきっていて、単純にそれが物凄く悲しいと思った。御手杵であって御手杵でない。自分の知っている刀ではないという、ただそれだけのことが悲しかった。 )
( / 良かったです……。ありがとうございます、こちらこそ宜しくお願いいたします。やりとりしていく間に違和感等ございましたら遠慮なく仰ってくださいね。
CCに関してですが全く問題ありません。こちらも審神者や他刀剣をサブCとしてロル内で扱ったり、時にはCCさせていただくこともあるかもしれません。そこに関しては大丈夫でしょうか?
御手杵君の練度は90程度で、殆どの刀はそろっており、極以外の刀剣は全員上限に達しているという設定でお願いいたします。 )
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