▽ 2017-09-26 20:23:34 |
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───警視庁 第七会議室
大きなモニターとテーブルが置かれた会議室の中に、複数の男女の姿があった。朝七時半という早い時間帯に集められたからか、欠伸を零す者の姿も見える。
「 急に呼び出してすまない。 」
恰幅の良い豊かな口髭を蓄えた男──警視庁刑事部捜査一課強行犯捜査三係の目暮十三がこほん、と一つ咳払いをして軽く会釈をした。
「 なんや急に呼び出して。昨日の電話で朝の七時半に集合や言うから慌てて家飛び出して来てしもたわ。 」
浅黒い肌に野球帽を被った青年──服部平次が気怠げに目暮を見遣る。彼は関西を代表する高校生探偵で数々の事件を解決して来た人物である。
そんな関西弁で話す服部を一瞥し、堅く閉ざしていた口を開いた。
「 実は、都内を中心に不審死が相次いでいる。死因は全て心臓麻痺。それも指名手配をされていた人物ばかりだ。 」
告げられた言葉は事件性を感じさせるもので、その場に居た男女の目付きが鋭くなった。
全て心臓麻痺とは。幾ら何でも指名手配犯全員が心臓に問題があるというのはおかしい。一人や二人であれば偶然も有り得る話だが、目暮が言うには今月に入り既に十五人も亡くなっているという。
「 有り得ませんね、偶然にしては出来過ぎている。 」
褐色の肌にアルパインブルーの瞳の青年がぽつりと呟いた。彼は探偵・毛利小五郎の弟子でありポアロの従業員・安室透。裏の顔は黒の組織の探り屋・バーボンだ。
「 警部!我々は何故集められたのでしょうか! 」
はい、と言わんばかりに挙手をしたのは眠りの小五郎として名を轟かせている毛利小五郎。綺麗な女性には目が無いものの、情に厚く娘思いの男である。
そんな彼の言葉に目暮は脱力感を覚える。ただ、そんな彼のお陰で場の雰囲気が少しばかり和らいだ。小五郎は刑事時代、目暮の部下であった。ある事件を切っ掛けに刑事を辞めてしまったが、射撃の腕は上位に食い込む程である。
「 手元の資料を見てくれ。 」
目暮は事前に渡していた紙の束を指し、事件の始まりを話し始めた。
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